レポート

【開催レポート】わが子をグローバルに活躍させるために、ママが家庭でできることは?

5人のお子さんをインターナショナルスクールに通わせた豊富な実体験をベースに、インターナショナルスクール・バイリンガルアドバイザーとして活動する売間良子さんを招いて【ママが家庭でできること ~本当に活躍できるグローバル人材を育てるために~】を開催しました。

ボーダーレスな時代。ヒト・モノ・コトが国境を超える物理的な制約、様々なハードルが低くなり、世界の裏側とも瞬時につながることができる時代。わが子がグローバルに活躍する姿を思い描き「英語力を身につけさせたい」「バイリンガルにするために、早めに英語に慣れ親しみさせたい」「インターナショナルスクールに入れたい」と考えるママは少なくありません。ベビーカーにお子さんを乗せたママから、「娘が国際結婚をしたので孫のバイリンガル教育について情報を集めたい」という女性まで、様々な方にお集まりいただいたセミナーの様子をお届けします。

子どもをバイリンガルに育てるのは、親子の一大プロジェクト

5人のお子さんをインターナショナルスクールに通わせて、なんと早18年が過ぎたという売間さん。アメリカで育ちアメリカ国籍を持つご主人の意向で、お子さんの進路はインターナショナルスクール以外選択肢が無かったという売間さんは、未知の世界に飛び込み、学校生活や保護者との言葉の壁を超えた交流、そして昨年にはご長男の就職まで見届けられました。

セミナー冒頭ではインターナショナルスクールの種類や学校の特徴など、基本的な情報からはじまり、ご自身や周りの方の経験談として、なかなか外に出てこないインターナショナルスクールの現状をお話しいただきました。

セミナーのために撮影してくれたというASIJ(American School In Japan)10年生と4年生のお子さんの英語&日本語のスピーチ動画も披露してくださいました。ネイティブ並みの発音の素晴らしさはさることながら、自分の考えや夢を堂々と話す姿に、日本の教育が目標とする「プレゼン力」に圧倒される参加者一同。
インターナショナルスクールを選択し、英語力を身につけ、日本では受けられない教育を受けることで広がる可能性もあれば、その一方で知っておいてほしいこともたくさんあるとのこと。

「日本の小学校、中学校は義務教育ですよね。日本国籍を持ったうえでインターナショナルスクールへ入学するということは、日本の義務教育を受ける権利を手放すこと。しかるべき届け出を怠ると、将来不利益を被ることもあるんです」と、実際に進学時に困ったことがあるという方のお話を例に、ちょっとびっくりしてしまうような怖い話も。
子どもをバイリンガルに育てるのは、親子の長時間かけた『一大プロジェクト』と売間さんは言います。
だからこそ、子どもの頑張りはもちろん、親の覚悟と努力も必要になると、経験者だからこその本音を聞かせてくれました。それでもバイリンガルとして育っているご自身のお子さんたちについては「英語を話せることで可能性と選択肢が広がっているので、恵まれていると感じる」との率直な気持ちも。だからこそ、バイリンガル教育を受けさせたいと考えるママには親身に寄り添いたいとの気持ちが伝わります。

「親が良かれと思ってインターナショナルスクールの狭き門をくぐらせても、途中で子供が英語を嫌いになってしまっては本末転倒。実際に途中で退学し、日本の学校に編入するというケースもあります。英語教室に通ったり、家でDVDなどの教材を使ったりして英語に親しませる方法もありますが、英語と日本語で進行する礼拝をおこなっている教会に親子で参加してみるとか、インターナショナルスクールが主催する体操教室に行ってみるとか、楽しみながら英語に触れることも取り入れてあげると良いですよ」とのアドバイスも。

「子どもたちが小さい頃は、家でも英語を教えようと一生懸命にトライしましたが、ネイティブスピーカーの夫から『下手な英語なら教えるな』と止められたことがあります(笑)私自身、そこまで英語力が高くなかったので、最初は学校の先生やママ友とのコミュニケーションに消極的になったり、戸惑ったりしたこともたくさんあります。それでも積極的に挨拶したり、子供を遊びに連れて行ってもらったり、学校行事にボランティアで参加したりと関わっていくうちに、コミュニケーションも取れるようになってきました」

長年にわたる経験から、そしてご長男の就職まで見届けたからこそ、バイリンガル教育に興味のあるママ達に伝えたいメッセージも。
「ネイティブ並みの英語力を身に着けていても、一番大切なのはやはり母国語、日本語です。
インターナショナルスクール卒業後の進学先は海外の大学や日本の大学など様々ですが、その先の『就職』となると、ビザの関係もあり、たとえ海外の大学を出たとしても、日本に帰ってきて仕事を探すことになります。その時にネイティブレベルの日本語力が求められます。英語は話せるようになっていても日本語力が低いとやはり仕事はもらえない、良い就職先が見つからない場合が多いです。そこがバイリンガル教育の難しいところだと思います。」

参加された方からもたくさんの質問をお寄せいただいたので、一問一答で疑問をぶつけてみました。

①我が子をバイリンガルにするのに何年かかる?

インターナショナルスクールに通わないとバイリンガルになれない?

『バイリンガル』が具体的にどのレベルの英語力を指すのかは様々な捉え方があります。例えばマンハッタンの金融業界で働けるレベルというと、日本だけでは難しく、アメリカンスクール、アメリカの大学を卒業するくらいでないと到達できないでしょうし、それには莫大な資金がかかります。逆に、日本で生活し、インターナショナルスクールに入らなくても(実際はとても狭き門なので、入れなくても)バイリンガルを諦める必要はありません。
バイリンガルになるのに何年かかるなどは、日本にいながらにしての場合は個人個人の言語の能力、男女にもよって、性格にもよって違いがあるので答えがないのが実情です。逆に言えばコツコツと積み上げていく物なのでせっかちにならない方が良いかと思います。親子で、長く頑張る気持ちで臨む覚悟が必要です。

②英語教育 いつからはじめればバイリンガルになれる?

具体的に何歳から、というのはありませんが、小さいうちから音楽、映画、TVなどで英語に慣れ親しむのは良いことです。ただ第1言語を柱として身につけることが基本となります。

③どんなことを家庭で取り入れれば良いのか?教育面で幼少期に力をいれておくポイントとは何ですか?
英語のドラマや、ラジオ、映画など、『意識を持って』見る・聞くことが良いと思います。ダラダラと流しっぱなしにしておくことはやらないよりは良いと思いますが、やはり集中して見たり、聞いたりしたほうが効果的だと思います。次々と対象を変えるよりも、ひとつのドラマやストーリーを理解するまで観る・聞く、そしてリピートさせるなども効果がありますね。女の子ならスクールドラマ、男の子ならサッカーの試合など、好きなものだと楽しみながら英語に触れられると思います。

子供と向き合う『時間』を捻出

5人のお子様の子育てと並行して、料理研究家としてのキャリアも積んできた売間さんに「子供の教育と自身のキャリアをどのように両立してきましたか?」という質問も。

「子供のために親が関わった方が良いことは自分でやり、私でなくてもよい事は割り切ってヘルパーさんにお願いして、子供のための時間、自分のための時間を効率よく使うようにしました。」

海外ではハウスキーパーやベビーシッターなどを利用して、ママが子どもと向き合う時間をつくることは当たり前の文化だとか。「今、ハウスキーパーとして来てくださっているのはフィリピンの女性ですが、私や子供たちにとっても家にいながら異文化・言語を学ぶチャンスだと思っています。」

キーワードは『家庭』

家庭の家事負担を軽減することで女性のさらなる社会進出を推進する「家事代行(ハウスキーピング)」での外国人就労が国家戦略特区で認められてから早2年。東京都・神奈川県・大阪府では外国人による家事代行サービスが展開されています。パソナグループが提供するハウスキーピングサービス『クラシニティ』もそのひとつ。

国の代表として来日する優秀なフィリピン女性は、厳しい研修を経て日本でハウスキーピングの仕事に取り組みます。ハウスキーピング文化が定着するフィリピンでも、実は富裕層こそ子供に『掃除』をしっかりと伝えているそう。「手伝わせる」のではなく、キレイな部屋が気持ちいという感覚を身に着けさせるため、身の回りの掃除を自分でできるようにするため、子どもの将来のために教育のひとつとして「掃除」を親から子供へ伝えているとのこと。だからこそ大学を出た優秀な女性が、ハウスキーパーとして日本で活躍できる土壌があるのだと納得。

勉強ばかりしてきた結果、身の回りのことは何もできない、片付けられない大人になってしまった…と、よく聞く話ではありますが、わが子には仕事が出来ても帰る家は『汚部屋』なんてことがないようにと思ってしまうのも親ならではの願いです。

真のグローバル人材として活躍するために、いかに英語を習得させるかというテクニックの問題ではなく、世に出て人と関わりながら仕事をする、というゴールを見据えてのお話は、ご長男の就職を経験したからこそ「心に留めておいてほしい」大切なことだと売間さんは繰り返します。お金を出せば『英語』を教えてくれるところはたくさんあるし、先々留学して生きた英語を学ぶこともできます。だからこそ、『家庭』は第一言語習得の大切な場であり、日本人として文化を学び、アイデンティティを育むことは、忘れてはならない親の役目だとも言えます。

どうやって英語を学ばせようか、早いうちに英語を習得させたいと頭を悩ますママに「家庭でしっかり子供と向き合う時間をつくることが第一歩」という売間さんの言葉は簡単なように見えて、「継続」を前提とした実体験に基づいた、実は誰も教えてくれない、一番大切なアドバイスなのかもしれません。

◆好評につき次回開催を予定◆

予想を超える反響をいただきましたので
2018年春に次回の開催を予定しております。
今後のご案内を希望される方は下記フォームからお申し込みください。https://ws.formzu.net/fgen/S96478357/

◆インターナショナルスクール

バイリンガルアドバイザー売間良子さんのHP
(相談希望の方はこちらからお問い合わせください)

http://inter-adviser.com

◆パソナが提供するハウスキーピング
クラシニティについてはこちら

◆漢字が読めない書けない、残念なセミリンガルにならないように…
バイリンガル教育と並行して日本の勉強も忘れずに。
教科書準拠・子どもがひとりで進められるタブレットで学ぶ家庭学習『スマイルゼミ』


ICT家庭学習2020プロジェクト
ICT家庭学習2020プロジェクト
教育のICT化や新しい学びのスタンダードをパパ・ママに伝えていく活動 【ママのためのタブレット家庭学習勉強会】【タブレット教材体験会】を全国で開催。 子どもたちが家庭環境や住んでいる場所に関わらず一定水準の教育が受けられること、学ぶ楽しさを知り未来のチカラになる自立学習の習慣を育むことを願うママ発のプロジェクトです。