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子育て・教育

潜在保育士とは?保育士を辞めていく理由は、給与、仕事環境、保護者のクレーム

潜在保育士とは?保育士を辞めていく理由

「潜在保育士」という言葉をご存知でしょうか。

2016年3月6日(日)放送のテレビ番組「ワイドナショー&B面」(フジテレビ系)でも、この「潜在保育士」の問題が取り上げられていました。

現在の保育士を取り巻く環境、そして潜在保育士が生まれてしまう要因について、実際に保育園とも関わりの多い働くママさんライターの声とともにご紹介します。

潜在保育士とは?

潜在保育士とは、保育士の資格を所持しているのに保育園など保育の現場で働いていない人のこと。

もちろん以前は保育園で働いていたものの、諸々の理由や事情があって保育士を辞め、他の仕事に転職してしまった方を含めています。

2016年3月6日(日)放送のテレビ番組「ワイドナショー&B面」では、その潜在保育士が多くなっている理由と背景を探るべく、以下の仕事をされている3名に匿名のインタビューをしていました。

  • 保育室施設長
  • 保育士
  • 元:保育士・現:ベビーシッター(潜在保育士)

潜在保育士が多い理由1:給料面

保育士の給料は手取りで10万円台半ば

保育士の給料について、現役保育士の方はこう語っていました。

給料は額面でも20万円いかず、手取りだと16万円くらい。
残業代も出ないし、どれだけ頑張っても給料は変わらない。
男性の場合、家族を養わなければいけないので保育士という職業は金銭的には厳しい。

元保育士(現在は潜在保育士)の方は、保育の現場を辞めた時に退職金は出なかったといいます。

「ともえ」のママライターの意見

看護師並の給与にしないと、保育士の勤続年数は短くなり、ベテランが生まれず、保育のノウハウが受け継がれず、結果、保育の質が下がると思います。
男性保育士は最近増えていますが、給料の面を考えると結婚して家族を養うには、難しいのでしょうね。
男の子は男の先生と遊んでいるとすごく楽しそうにしているので、残念です。
(松原夏穂)

泣いたり、怒ったり、イヤイヤされたり、自分の子どもだけでも精一杯なのに、朝早くから遅くまでたくさんの子ども達のお世話をしていただいいる保育士の先生方には頭が上がりません。
『なんでそんなに安い給料なの!?』とこちらが心配になるほどです。
ただ、保育士さんのお給料が今の倍額になったら、私たちの払う保育料も倍額になるのでしょうか……利用者側としてはそれも心配です。
(中村万智子)

潜在保育士が多い理由2:過酷な仕事環境

保育士の厳しい労働環境についても、語られていました。

シフト上は9時間勤務の休憩1時間ですが、実際には休憩1時間なんて取れることはない。
ハッキリ言ってキツい仕事なので、資格は取ったけどやっぱり辞めようって方は周りにもいます。

保育士ならではの職業病については、腰痛という声がまず上がっていました。
コルセットをつけているスタッフもかなりいる、と。

子どもたちを常に見ていなければならず、自分が風邪をひいている時も鼻水をふくティッシュすら取りに行けない、トイレにいくヒマもないので膀胱炎になってしまった、という話もありました。

また、保育園のイベントも、保育士が全て考えて企画しなければならない話も。

私たちの保育園では、年案・月案・週案・日案を全て自分たちで考えて、個人的なカリキュラムも、毎月全員分を考えていました。
本当に書類が多いんです。
それに加えて、保護者の連絡帳(日誌)も毎日書かなければいけません。

イベントのネタは、例えば「ひな祭り 普通じゃない」とか「ひな祭り 独特」とかで検索して調べて、その年齢にあわせたものに工夫して作っていました。

普通のイベントだと保護者は満足してくれない、一風変わったものでないと満足してくれないんです。

「ともえ」のママライターの意見

背中に赤ちゃんをおんぶしながら、両手に子ども達を抱っこする保育士さん。ほんとうに重労働だと思います。
我が子が入った保育園3つを比べると、イベントに関しては、保育園によってかなり差があります。
個人的には変わったものでなくスタンダードなイベントでいいと思いますが、地域の伝統を取り入れたイベント(仙台であれば伝統文化「すずめ踊り」を踊る)を取り入れている保育園もあり、園独自の伝統イベントを続けるのもステキだと思います。
(中村万智子)

うちの子どもが通っていた保育園は、姉妹園が多くありました。
そのために保育士さんの異動も多く、慣れたときにまた異動という感じでした。
そうなると、保育士さんのやる気も薄れてくるのだと感じました。
(松原夏穂)

潜在保育士が多い理由3:クレームの多い保護者

保育士がキツい仕事だということのもう一つの大きな原因となっているのが、子どもの保護者からのクレームや文句。

「資格を持っているプロなのにどうして子どもをケガをさせるんだ」
「(発表会などで)なぜうちの子が主役じゃないんだ、台詞があの子はいっぱいあるのにうちの子は1つしかない」

このようなクレームの話が挙がっていました。

そのため、台詞の数はみんな一緒にする、主役を一人ではなく複数にする、などの苦肉の策が取られることになっています。

「ともえ」のママライターの意見

確かにどうでもいいことで怒る保護者はいますよね。
保育料が高いから要求も高くなるのでしょうが、その対応に当たるせいで、大事な部分の保育の質が落ちる可能性があることにも気づいて欲しいです。
(川崎裕子)

知人の保育士の話では「保育園=保護者に代わって子育てしてくれる所」と思い込んでいる保護者がいるらしく、食事の仕方、着替え、オムツトレーニングすべて保育園任せという場合もあるそうです。
「保育」とは「安んじ育てること、撫育(可愛がって育てること)」。
なんでもかんでも保育園任せ、というのは親として恥ずかしいこと自覚しないといけませんよね(とは言っても、保育士の先生方には大変お世話になりました、ありがとうございます)。
(中村万智子)

主語・述語があいまいな連絡ノートや、誤字脱字が多い園だよりに、私自身はうんざりすることもありました。
こういうことが繰り返されると、保育士と保護者の信頼が薄くなり、何かと文句をつける保護者が出てくるのでしょうね。
私がライターなので、厳しい目でみているのかもしれませんが……。
(松原夏穂)

無資格の保育士でもOKになることについて

厚生労働省は、保育士資格のない人でも認可保育所で保育に携わることができるよう、平成28年4月から基準を緩和する方針を固めています。

そうやって無資格の保育士でも保育に携われることについて、現場を経験されている3名の意見が訊かれました。

私は一長一短だと思っていて、大人の目は増えることはプレッシャーも軽減されて良いことだとは思うんですけれども、資格が無いというそれだけのレッテルで保護者が不安に思うのであれば、デメリットになってしまうと思う。
書類を書いたり対応をしたりするのは資格のある人だとすると、じゃあ子どもを見るのは資格の無い方ですよね。
資格の無い方が責任を負って子どもの命を守れるのかというと、それはどうかなって思います。

資格有る無し関係なしに、子どもをよく見てくれる方なら嬉しいです。
ただ、資格が無いということは、そういう方ばかりが来るとは限らないですよね。
それだけ何も知らない方が多いと、ケガや安全面のリスクを大きく感じるので、だったら経験のある人をもうちょっと働きやすい環境にする方が先だと思います。

保育士の資格持ってるのに働いてない人がいることは、仕事がキツいからじゃないですか。
そのキツさを、勉強していない方に本当に任せられるかと言ったら、それは明らかですよね。

「ともえ」のママライターの意見

資格を持っていても、持っていなくても、きちんと子どもたちに向き合って保育をしてくだされば良いと思っています。
息子が1歳の時に通っていた保育園は、年度が代わる3月に突然閉園を宣言され、親として怒りが収まらない中、4月からの保育園探しに奔走しました。そんな、無責任な保育園もあります(市の認証を受けた保育園です)。
もちろん資格も大事だとは思いますが、経験と子どもたちへの向き合い方のほうが大事です。
(中村万智子)

保育士のやりがいとは

これだけキツい話がたくさんある保育士という職業ですが、最後に保育士という仕事のやりがいについて質問がありました。

子どもたちの笑顔とか、成長とか、そういうものです。
私自身、風邪引いても熱があっても、職場にいる間は体温が下がってたりするんですよ。

卒園式の感動ですかね。
364日が嫌でも、その1日で全てが洗い流されます。

どんな仕事もやりがいだけではやっていけませんが、それでも保育士の方々がやりがいも少なからず感じてくださっていることには少し救われる思いです。

保育士さん(潜在保育士さん)を取り巻く環境が少しでも改善されることを願っています。


ともえ編集部
ともえ編集部

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