株式会社パルコ・シティHR事業責任者吉本明加さん
働き方図鑑

育児と仕事の両立で悩んでたどりついた「チームをたくさん大きくつくる」考え方

今回の「働き方図鑑」でご紹介するのは、株式会社パルコ・シティでHR事業責任者をされている吉本明加さん。

パルコグループダイバーシティ推進委員会のメンバーでもあり、ドリームマップ講師資格をお持ちで、「人」に関わるお仕事を続けていらっしゃいます。

プライベートでは、高校3年生の1男を育児中。

そんな吉本さんに、ご自身のこれまでの働き方と今後の活動について、お話を伺いました。

就職氷河期、バリキャリ時代に就職。高い壁にぶつかる

私が大学生の頃は、働きたい学生はたくさんいたのに働く場所がない「就職氷河期」でした。

私は運良く社会人になることができましたが、バリキャリ(バリバリ働くキャリアウーマン)が求められる時代だった当時。

入社して間もなくから「ロールモデルになれ」と会社から期待をされましたが、子育てをしながらお手本もいない中で模索しなければならず、正解が分からずに悶々としていました。

仕事に没頭すれば、当然仕事にかける時間が長くなり、子供が寝てから帰るということが続くこともありました。

幸い社内では高く評価はしてもらえましたが、段々と「子供をきちんと育てられているのだろうか」と自信がなくなり、高い壁にぶつかりました。

株式会社パルコ・シティHR事業責任者吉本明加さん

「ママは将来何になりたいの?」子供のなにげない言葉にスイッチオン!

仕事にかける時間が長くなれば、子供と過ごす時間は短くなってくるのは当然で、自分はきちんと子育てできているのか、モヤモヤすることも増えていきます。

働くママはみんな悩んでいます。

親が子供に将来の夢を聞く場面は多いですが、当時4歳だった息子に「ママは将来何になりたいの?」と無邪気に聞かれ、答えに困る自分がいました。

このなにげない言葉でスイッチを押され「私はトップ営業になりたかったのか? トップ営業でい続けることが幸せなのか? この働き方を続けるのか?」と自分のやりたいこと、働き方、生き方について真剣に考え、「働き方を変えよう! 会社から期待していただいたワーキングマザーとしてのロールモデルになってみよう!」と決意しました。

「妊娠・出産を機に辞めてしまう人を一人でも減らすこと。そのための仕組みをつくること。多くの女性の支援を行うこと」を決めた頃、ちょうど配属されていた部署が解散することになり、転職をしました。

子連れの転職は不利というイメージがありますが、子供がいるとかいないとかは関係なく「会社の期待」と「自分が貢献できること」がマッチングすれば採用になると考えます。

今、そして将来に「自分ができること」を明確にし、伝えることが大事です。

また、育児期間は一時的なもの。
手が離れたときの働き方や長期的に会社をどうしたいのかを、きちんとお話することが重要だと考えます。

株式会社パルコ・シティHR事業責任者吉本明加さん

子育ても仕事も「チーム」をたくさん大きくつくる

転職してからまもなく「定時で帰る管理職」を貫き、育児と仕事のバランスを重視する、バランス重視型の働き方を徹底してきました。

その働き方が正解か分かりませんが、会社員である以上、一人で仕事が完結することはありません。

時間の制約がある中で働くには、個人の意識もとても大切です。
時間の制約とは関係なく自分が発揮できることを明確化し、それを会社に、チームに約束します。

不在である時間もきちんと伝え、補い合える人を探して一緒に仕事をすることが大事です。

横のつながりを大事に、自分の熱意・本音を伝え、自分や他人の役割を明確にして、できること・できないことを補い合う「もちつもたれつ」の関係をつくりました。

所属部署だけではなく、他部署の人や他企業の人も巻き込んで、プロジェクトごとにチームを作ります。

当時、ワーキングマザーは私一人。
一人の行動が「ワーキングマザーはしてもらって、助けてもらって当たり前」と括られることのないように、何か助けてもらったときは必ず「していただいた以上のお返しをする」ということを徹底していました。

子育ても同様に、親戚総動員!
パートナーには頼れない環境だったため、両親、祖父母、父方、母方のおじさんおばさん、ときには弟まで(笑)自分と子供を気にかけてくれるみんなにお願いしました。

それだけ人数を揃えておけば、誰かがダメでも誰かが大丈夫。
たくさんの人にお願いすることで、個人の負担も軽減します。

会社のチームづくりと同じで、子育てもチームでなんとか乗り切ろうと思っていました。

小さいチームでは欠けたときに助け合うことが難しいですが、チームをたくさん大きくつくっておけば、「じゃああっち」とすぐに方向転換ができます。

協力を得られるためには「自分がこういう風にしたい」「将来こうしたい」という自分の想いを共有しておくこと、これが大事です。

吉本さんが営業時代に、経営視点でリーダーになるようにともらって持ち歩いていたカード

吉本さんが営業時代に、経営視点でリーダーになるようにともらって持ち歩いていたカード

ドリームマップとの出会い。ロールモデルのシェア。そしてこれから

私は比較的早くに出産し、現在は子育てから手が離れてきたので、土日のプライベートの時間を利用して地元や商業施設のイベントなどで、専業主婦やこれから働きたい女性の背中を押すお手伝いをしています。

育児と仕事の両立を15年続けてきた経験をまず一つのロールモデルとして、また私が携わった多くの女性の経験談をシェアする場所を、提供しています。

個人の環境は一人ひとり違い、まったく同じなんてことはありません。
私は「ロールモデルのつまみ食いをしてください」とみなさんにお伝えしています。参考にするロールモデルは多い方がいいはずです。

「この人のこの部分は私に合っている、取り入れられそう」と、たくさんのロールモデルを自分自身にあてはめて考えることができます。

また、保育園、小一の壁、受験など、育児のポイントで「今、今」と目の前の短い時しか見つめられなくなっている働くママに、長期的に考えることの大切さを伝えることで、ママの将来設計を描くサポートをします。
それをドリームマップと呼んでいます。

私自身、約1年半前にドリームマップを作成したことで、「正解なんてない、生き方も働き方もみんな違っていいんだ」と自分の生き方を承認してもらえて、ものすごくスッキリしました。
ドリマ先生の資格を取得し、働くママを支援する手法としてドリームマップを取り入れています。

企業に勤めたい、スキルを活かしてフリーで働きたい、サロンを経営したい、など、色々な女性の「働き方」支援をしていきたいと思っています。

今になって、当時と比べると働くママの支援は増えてきて、企業の理解も進んだと思います。
これからはママだけではなく、そのこどもたちの支援もしたいと強く思っています。

働くママとそのこどもが笑顔であること、それをたくさんにすること、を目指して、今後も私は活動を続けていきたいと思います。

株式会社パルコ・シティHR事業責任者吉本明加さん

ドリームマップセミナー時の吉本さん


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楠 美奈子
武蔵野美術大学卒業。制作会社に就職後、Webに興味を持ち独学でコーディングを学びコーダーとして転職。現在はWebディレクターとして勤務。働くママ。 プライベートではひとり娘と毎日楽しく暮らしています。

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