ママのためのネットセキュリティ対策セミナー
レポート

夏休みはトラブル急増? ママのためのネットセキュリティ対策セミナー~ダメ!では効かない子供たちにどう伝える?どう守る?~

スマホ、タブレット、PC、携帯ゲーム機……。子供たちの周りには、当たり前のようにインターネットにアクセスできる環境があります。

インターネットがもたらす利便性や豊かさも多分にある一方で、コミュニケーションやセキュリティ面での不安も同じくらい大きいのが現実。

子どもの成長は待ったなしだから。

子どもからネット環境を完全にシャットアウトすることは不可能だから。

「ダメ!では効かない子供たち」のために、いますぐできること、安全に使うための方法を学ぶべく【ママのためのネットセキュリティ対策セミナー】が開催されました。

働くママを中心に、子供向けの教室や、チャイルドマインダーとして子供と関わる仕事をする女性たち20人が、自由時間が増える夏休みを前に「詳しく知りたい!」と集まりました。

ママのためのネットセキュリティ対策セミナー

小学生と年中さん二児のママ、トレンドマイクロ(株)の内藤さんがセミナーを進行

信頼関係は「わたしメッセージ」で

インターネットのリスクについて知識はある、防ぐ方法もある。

でも、当の子供に伝えられなければ意味がない。伝えるためにはどうしたらいい?

今回、その方法を教えてくれたのが、自称“元ガミガミママ”の生駒章子さん。今は親教育の専門家として、学校や地域を中心に活躍しています

子供に大切なことを伝えるのに、まず必要なのは信頼関係。

当たり前のようですが、親子の間に本当に信頼関係が築けているかと問われると、正直、自信がないというママも多いのでは?

ネットセキュリティ問題のいちばんの当事者である、スマホを持ちはじめネットとの接点が増える小学高学年~中学生にかけては、思春期や反抗期に差し掛かり親子の関係が最もゆらいでいる時期ではないでしょうか。

ママのためのネットセキュリティ対策セミナー

自称“元ガミガミママ” 親の学校プロジェクト 代表. 親業訓練インストラクターの生駒章子さん(左)

子供たちが多感で危うい時期だからこそ大切な親子の信頼関係。にも拘わらず、それを失わせる「こんな言い方していませんか?」の問いかけには、思い当たる節があるのか、ほとんどの参加者がうなずいたり、苦笑いしたり。

例えば「もう!いつまでゲームしているの?宿題する時間なくなるよ!」

相手を主語にした話し方をすると、どうしても相手のマイナス面に焦点を合わせた発言になってしまい説教、批判、悪口、命令になりがちとのこと。

これを「あなた(You)メッセージ」と呼ぶのだそうです。

多くの親たちの常套句と思われる12の「あなたメッセージ」。

ママのためのネットセキュリティ対策セミナー

テキストに書かれた「コミュニケーションを阻む12の障害」という文字にドキっとさせられます。

それでは、信頼関係を築くにはどうすればいいのでしょう?その答えは……。

「わたし(I)メッセージ」。

これは、親が嫌だと思うことを減らしていくための伝え方なのだとか。

食事中に子供がスマホをいじっていて「嫌だな」と感じているのは誰でしょう?
ネットトラブルに巻き込まれたらどうしよう…と「心配」しているのは誰でしょう?

そう、親自身なのです。

例えば「わたしメッセージ」を使って問題を解決したご家庭の事例がこちら…。

事例(1)

(毎日の兄弟喧嘩にうんざり)
弟「お母さん、お兄ちゃんがゲーム貸してくれない(怒)」
兄「俺が先に使ってたんだよ!」

(あなたメッセージ) ママ「うるさいな!お兄ちゃんなんだから貸してあげなさい!」(侮辱・提案)

(わたしメッセージ) ママ「兄弟喧嘩してると、ママはゆっくり休めなくてイライラしちゃう」

事例(2)

(仕事から帰ってくると、子どもが料理をした後で台所が汚れている)

(あなたメッセージ) ママ「なんで使った後片付けないの?片付けないなら料理なんてしなくていいよ!」(質問・脅迫)

(わたしメッセージ) ママ「台所が片付いてないと、まず片付けなくちゃいけないのにガッカリするし、夕飯が出来るのも遅くなって困るんだよね」

そんな具体的な会話を生駒先生が紹介すると、なるほど~と参加者一同大きくうなずきました。「わたしメッセージ」の伝え方を理解したところで、お隣同士、ロールプレイングに突入です。

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インターネットを利用したい子供と、心配する親の役を交替し、伝える立場、伝えられる立場の両方を体験することで「わたしメッセージ」の威力を実感し、大いに納得。

これならできるかも!やってみよう!参加者たちの明るい表情から、そんな言葉が聞こえてくるようでした。

そしてもうひとつ教えていただいたのは、「親が子供のコンサルタントになる」ということ。これも実際にロールプレイングで体験することに。

このときに大切なキーワードや条件、言い方・聞き方のポイントを教えていただきました。特に大切なポイントは「会話を子供側で終わらせること」。

つまり子供の言い分を聞いた後、親は反論してはいけません。

実践してみると……。あれ?子供の言葉で会話を終わらせることにはちょっとモヤモヤするものの、子供との距離は、かすかに縮まったかも?そんな感覚を味わえたようです。

セキュリティは知識とルールと製品で

伝え方について学んだあとは、守り方について、トレンドマイクロ株式会社の林書帆さんからネットセキュリティ対策についてお話がありました。

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トレンドマイクロ社と言えばサイバーセキュリティのリーダー企業!ママたちも興味津々の様子

子供たちを守るための具体的な対策は大きく分けて2つありました。

1つめは、「知識とルール」

なぜ、子供をネットトラブルから守る必要があるのか?

10歳に満たない子供たちが普通にインターネットを使う時代であることや実際に起こっているトラブルについて、さまざまなデータや事例を教えていただき、子供のネット利用におけるリスクをしっかり認識することができました。

このリスクは決して他人ごとではないこと、急を要する問題であることも。

子供の成長は待ったなし、ネット環境の変化や進化も待ったなし。学校や行政の対応は、まだまだ追いついていないのが現状です。

まずは、親がネットトラブルに関する知識や対処法を学ぶ必要があると感じました。そしてインターネットの使い方のルールを、子どもたちと話し合うことの重要性を痛感しました。

2つめは「セキュリティ製品」

どんなに伝え方を工夫しても、どんなにルールを決めても、目に見えないインターネット利用について親ができることには限界があることも否めません。そんな時、頼りになるのが、セキュリティ製品やシステムの存在です。

セミナーではセキュリティ製品ウイルスバスター for Home Networkを紹介していただきました。

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四角いお弁当箱ほどの大きさの製品、アプリから管理可能

スマホやタブレットの他にゲーム機のようなセキュリティソフトをインストールできない機器も管理アプリからまとめて保護できるほか

・インターネットタイマー(曜日ごとの利用時間帯、最大利用時間を設定)
・あんしんフィルタリング(有害サイトへのアクセスをブロック)
・アプリの利用通知(アプリの利用について保護者に情報共有)

などの機能などを備えているとのこと。

※本製品は、セキュリティソフトをインストールできないインターネット接続機器を乗っ取りや遠隔操作などから守ったり、有害なサイトへのアクセスを一括で防御したい場合などに有効です。

※USBメモリや、メールに添付されてくるウイルスなど、ネットワーク上の攻撃でないものやご家庭のネットワーク外での端末ご利用時は本製品の保護対象外となりますので、PCやスマートフォンには従来のセキュリティソフトが必要です。

―9時になったらゲームは終わりだよ。
―新しいアプリを入れるときはパパやママに相談してからね。

など口頭のルールにプラスしてセキュリティ製品を使うことで、必然的にルールが守られ、抑止効果もあるという実践例も紹介いただきました。

セキュリティ製品に守られた環境下でネット利用することが、結果的に子供をリスクから守ること、生活のリズムを整えることにつながるのです。

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実際の管理画面がこちら。スマホのアプリから一括管理ができます。

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曜日ごとに利用時間の設定ができるから、平日と週末で設定を変えたり、塾や習い事のスケジュールに合わせて利用時間を変えるのも楽々。

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有害サイトをブロックするだけではなく、報告もされるので子供の動きが把握できます。

ソフトをインストールするタイプではなく家庭内のWi-Fiルータに接続してセキュリティ対策をするという方法については「今まで知りませんでした!」という参加者が多いようでした。

ワンクリック詐欺やフィッシングサイトの被害など、インターネット上のトラブルも多様化していますが、セキュリティ製品もどんどん進化しているのですね。

インターネットテレビや音声認識のスマートスピーカーなど、インターネットとつながる「家電」も増えてきました。家庭内のネットワークも「守る」時代になっていることを実感しました。

悩みや対策、共有することで得られるもの

セミナーの最後は参加者同士での座談会。わが子のインターネットセキュリティについてざっくばらんに語り合いこんな声が上がりました。

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子供の性別や年齢に分かれての座談会…盛り上がります!

  • 子供にゲームアプリをさせていたら知らない間に課金されていた、という話を聞いたことがある。子どもは無料のつもりでやっていたけど、実は違ったよう。未就学のお子さんをお預りする際にも、スマホやネットの利用についてママから相談されることが増えた。(チャイルドマインダー)
  • 中学入ると部活の連絡や塾の関係からスマホを持つ子が増える。
    契約書形式のスマホ利用ルールを作ってから持たせたけど、実際何を見ているのか、誰とメッセージのやり取りをしているのか全てを把握できているわけではなく不安がある…(中学生男子のママ)
  • ネット上の課金は価値として感じにくいので、課金は自分のお小遣いの囲内でプリペイドカードを買わせるようにしている。(中学生男子のママ)
  • 数学の解法などスマホで見ながら勉強したりもしている。集中力は途切れるが、もはや勉強におてもマストアイテムになっている時代(塾講師の親戚がいるというママ)
  • 写真アップしたら全世界に広まり、そして永久的に消すことはできない。
    将来結婚するとき困るので、男子との2ショット写真をネットにあげるのは絶対にダメと伝えている(中学生女子のママ)

ママのためのネットセキュリティ対策セミナー

成長段階に応じて、それぞれ違った不安や悩み、対策などを聞くことができました。また、性別によっても、悩みの種類や対策は変わってくるのだということも改めて気づかされました。

他のグループの発表に、笑ったり、驚いたり、安心したり、気づいたり。今はとくに問題はなくても、近い将来の悩みを想像し、その場合の心構えや対処のヒントをもらえ、ネットセキュリティについて考えるよい機会になったようです。

大切なのは、コミュニケーション&コントロール

今回のセミナーでとくに感じたこと。

それは、子供のネットセキュリティ対策は【伝え方・知識力】などの【コミュニケーション】と、利用環境を整える【コントロール】の両輪が機能してこそ!という点でした。

子供のネットセキュリティの問題は、この先、決して避けて通ることはできません。

ネットセキュリティに対する親の知識や意識レベル、子どもの置かれた環境によって、子供のリスクが左右されることのないよう、子供を守るためのしくみを作ることが親としての努めであると感じました。

ママのためのネットセキュリティ対策セミナー

座談会でママ達が口々に漏らしていたのは「時代のスピードが速すぎる」「子どものほうがネットやアプリに関して詳しいので太刀打ちできな」ということ。

子どもを「ダメ」で抑え込むだけでは、対応しきれないリスクもありそうです。

私たちのころはスマホなんてなかったから…ではなく、今はどうなっているの?どんな対策が出来るの?と、セミナー参加者のみなさんが積極的に学び情報を取り入れようとする姿には「わが子を思うから」こその熱気が伝わりました。

親の感情に任せた「ダメ!」ではなく、信頼関係を築き環境を整備すること、有用なツールを活用することで初めてネットセキュリティ対策になることを、まずは私たちから実践していきたいと思います。

自由な時間と誘惑が増える夏休みはネットトラブルも増加する傾向にあるといいます。
不安を抱えたままではなく、まずはできる対策から始めてみませんか?

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植村 理絵
植村 理絵
ライター兼アロマ講師。 子育て応援サークルや地域イベントの運営にも携わる。書籍や雑誌の編集・ライティングの傍ら、人や動物のホリスティックケアを学び、現在は、講座やさまざまなメディアを通して情報発信を行っている。ブログ「見えるアロマと効くアロマ」更新、メルマガ「秘密の香庭」配信をゆるりと継続。義父と同居しながら、小1娘&9歳犬娘の母を堪能中。