子どものためを思って言っているのに…全然聞いてくれない!
イヤイヤ真っ盛りの2歳だって、身長を追い越されそうな高校生だって、ママにとっては可愛いわが子。
守ってあげたい、より良い方向に導いてあげたい、そう思ってアドバイスや助言をしているのに、聞いてもらえなくてイライラしてしまうこと…ありますよね?
今や生活必需品となったインターネットやスマホ・タブレットの利用についても、子供にどう使わせるべきか?と思い悩むママが増えています。
そんな中、この夏開催した【ママのためのネットセキュリティ対策セミナー】に参加したママたちから「教えてもらった『わたしメッセージ』を試してみたら、子供に変化があった!」という感想が寄せられました。
ネット利用に限らず親子のより良いコミュニケーションを育むため、たくさんのママに知ってほしい『わたしメッセージ』とは?読者を代表してともえちゃんが質問しました!
お話を聞いたのはこちらの方
元ガミガミママで今は親教育の専門家
生駒 章子(いこま しょうこ)
親業訓練インストラクター
親の学校プロジェクト・主宰
ファイミリータイズ・代表
はじめまして!今日はよろしくお願いします。
ところで、生駒さんの肩書にある「親業インストラクター」って何ですか?
親業(おやぎょう)訓練協会の認定講師の呼び名です。
親業訓練というコミュニケーションプログラムをみなさんに正確にお伝えするために、親業の概念と方法を学んだ指導者として認定されています。
「おやぎょう」って言葉、初めて聞きました!
「親業訓練」はアメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発したコミュニケーションプログラムです。
原題は「Parent Effectiveness Training(親としての役割を効果的に果たすための訓練)」といって、カウンセリング、学習・発達心理学、教育学など、いわゆる行動科学の理論に裏付けされたコミュニケーション法を親子の間で使えるように、体系的にしたプログラムなんですよ。
日本でも親業訓練協会が誕生してからすでに30年以上の歴史があるんですよ。
ゴードン博士が問題行動を起こした子供のカウンセリングをするなかで、親子のコミュニケーションに原因があるのでは?と考えたことが親業訓練誕生のきっかけだと言われています。
子供を変えるのではなく、親の接し方を変える、子供が育つうえで親がいかに関わるかという親の側に焦点を当てて子育て見直すところに大きな特徴があります。
子どもを変えるのではなく、親の接し方を変える…。確かにいつも「どうやったら子供が私の思ったとおり動いてくれるだろう」と子供を動かすことばかり考えていたかもしれません。
ゴードンメソッドと私たちは読んでいるのですが、親業訓練講座では【聞く】【話す】【対立を解く】という3つの柱をお伝えしています。
これを毎日の日常生活の場面で実践してくことによって、より良い親子の信頼関係をつくるということが親業訓練の目指すところになります。
親子の信頼関係…生駒さんはさぞかし良いお母さんなんでしょうねぇ?
親業を知る前に比べたら子供たちとは良いコミュニケーションをとれているな~と思っていますよ。
ただ、親業に出会うまではガミガミうるさい親でしたね(笑)いつもイライラ怒ってばかりいました。
訓練、というとなんだか難しそうだけど、私にもできるかな?
もちろんよ~!私も最初からうまくいったわけではありません。
意識して、毎日の生活の中で繰り返し「練習」することがスタートです。
親子関係はもちろん、夫婦や職場での人間関係にも活用できるので、ぜひトライしてみてほしいです。
実は、最近子供たちが動画サイトにはまっていて、いくら注意してもなかなか止めないのが悩みなんです。
休日ともなると朝からずーーっと見続けていて、出かけようよと誘っても無視されたり。
しまいにはパパも一緒になって見ているのでますますイライラしちゃうんです!休日が憂鬱でたまらない…
今の子は生まれたときからネットが身近にあるのが当然。ネットに関する悩みやトラブルも低年齢化しているようですね。
ともえちゃんはお子さんたちにどんな声掛けをしてるの?
そうですね。「せっかくのお休みだし、外に遊びに行こうよ~」と誘ってみたり、「好きなもの買ってあげるからショッピングモールでも行こうよ」と誘惑してみたり…
「あと30分だけだよ?約束守れないならタブレット取り上げるからね!」とイライラし始めて、しまいには「そもそも部屋の片づけは済んだの?あっちこっち散らかしているからすぐ物が見つからなくなるんだよ!この前だって買ったばかりのおもちゃが見つからなくて大騒ぎしたでしょ~!」と怒ってしまったり…。
結局遊びに行くどころか私はイライラして、子供たちもぶつぶついいながら片づけをして、結局休日が終わる、という感じかな…。
なるほど、ともえちゃんはお子さんたちと出かけたいのね。
上の子は平日は習い事で忙しいし、下の子はまだお昼寝する日もあったりして、なかなか子供たちとゆっくり遊んであげられないので、休みの日ぐらい一緒に過ごしたいな~と思うんです。
せっかく天気がいいなら公園でカラダを動かして元気よく遊んでほしいし、季節の変わり目にお洋服も買いに行ってあげたい。
私が選んだ服じゃ着てくれないから一緒に買いに行きたいんです。
それに最近しっかりしてきた長女を見ていると、べったり過ごせるのはあと数年かなと思ったら寂しくなっちゃって。
なるほど~。だけどともえちゃんのその気持ち、お子さんには伝わっているかな?
う~ん、私、怒ってばかりだわ~!
実はさっきのともえちゃんの言葉は90%以上の親がやっている効果のない対応に当てはめることができるんだけど、、
「あと30分だけだよ?約束守れないならタブレット取り上げるからね!」(脅迫)
「そもそも部屋の片づけは済んだの?あっちこっち散らかしているからすぐ物が見つからなくなるんだよ!」(説教)
「好きなもの買ってあげるからショッピングモールでも行こうよ」(ごまかし)
(トマス・ゴードン著「親業」のコミュニケーションを阻む12の障害より)
実は、これらの言い方は、相手が協力的になるどころか、逆に反発や恨みの感情を抱かせてしまう恐れがあるんです。ただ残念ながら、多くのママが、こんな言葉で状況を悪化させているようです。
じゃあどんな伝え方をすればいいの?
ママの思いが伝わり、回りからの協力が得やすい言葉かけ〈わたしメッセージ〉をご紹介しますね。
わたしメッセージは【行動】【影響】【感情】の3つの要素から作られます。
もうちょっと詳しく説明すると
・子どものしているどの【行動】が
・親の私にどんな【影響】を与えていて
・【どう感じているか】を
伝えるのが〈わたしメッセージ〉です。
ともえちゃんの場合
・子どもの行動 → タブレットにかじりついて動画ばかり見ていると
・親への影響 → せっかくの休日なのに一緒に過ごすことができなくて
・感情 → 寂しい
これがともえちゃんの「わたしメッセージ」になるよね。
わたしメッセージを意識することで子供を【非難】せずに、親の想いをしっかり伝えることができると思いませんか?
確かに~。私の発言って子供を非難することばかり(汗)
わたしメッセージを聞いた相手は、自分の行動が与えた影響を知ることにより【そんな影響を与えないようにするにはどうしたらいいんだろう】と考えます。
自分が非難されたと感じることなく、思いやりをもって行動を変えやすくなるわけです。
ともえちゃんの家庭に限らず、暮らしのマストアイテムとなったスマホやタブレットを子供に一切使わせないというのは難しい時代になりましたよね。
かといっても「視力や生活リズムに影響を与えないよう、長時間は使わせたくない」「フィッシングサイトや有害アプリなど思わぬ危険が潜んでいることもあるから、親の目の届くところで使わせたい」「詐欺やいじめなどのトラブルが心配だから、誰とどんなやり取りをしているのかは把握しておきたい」と心配している保護者の方がほとんどでしょう。
先日講師を務めさせていただいたママのためのネットセキュリティ対策セミナーでも、ママたちからリアルなお悩みがたくさんあがりましたよ。年齢によって悩みも変わっていくものだな~と。
夏休みはトラブル急増? ママのためのネットセキュリティ対策セミナー~ダメ!では効かない子供たちにどう伝える?どう守る?~
特に未就学~低学年のお子さんは自制心をつかさどる機能がまだ未発達なので、自分で制限するのは親が思っている以上に難しく、ママのサポートが必要な時期なんです。
また自分専用のスマホやタブレットを持つ年齢になると、興味や関心の幅も広がったり、友達や外の世界に重きを置くから「親の言うことなんて聞きたくない」と反発するのもある意味健全な成長のあかしでもあります。
子供に言うことを聞かせる、ママの命令や脅迫を仕方なく受け入れさせる、のではなく、出来ればママの意見を子どもが快く受け入れ、自制出来る子になってほしいですよね。そのためにも、子どもと良い関係を作りたいものです。
ですです!
親と子供は別の人間です。価値観や考え方は違って当たり前。
イライラがみがみ怒ってばかりの相手の話を聞こう、受け入れようとは思えないもの。
「親が嫌だと思っている」ことをまずは親自身が把握し、それを「わたしメッセージで伝える」ことからスタートしてみてくださいね。
ほかにも親業訓練講座では【話す】以外にも【聞く】【対立を解く】という方法も使いながら、コミュニケーションの質を高めることで、親子の信頼関係を構築していきます。
今日は時間が無いので全部はお伝えしきれなかったけど、まずは〈わたしメッセージ〉を意識して、ともえちゃんの気持ちをお子さんに伝えてみてくださいね。
一緒になって動画を見ているパパももしかしたらイライラの種かもしれませんね。
「見せないでよ!」と言っても逆に「ママは厳しすぎるね~」と悪者扱いされたり…
え?もしかして我が家を覗きましたか??そのとおりなんですー!
周りの協力が得られないことでママのイライラも増殖しますよね。
そんな空気を察して子供の気持ちも不安定になります。何と言ってもネットトラブルで夫婦、親子、家族の絆が壊れてしまうのは避けたいもの。
ご主人に対しても〈わたしメッセ―ジ〉で伝えてみてくださいね。
ありがとうございました!今まで怒ってばかりで、子供の行動を制限するには力でねじ伏せようとしていたことに大反省。教えてもらった〈わたしメッセージ〉で気持ちを伝えてみますね~!
最後にもうひとつだけ、【環境を変える・環境に働きかける】ということも併用してみてはどうかな。例えばインターネットの利用時間やアプリを制限・管理できる、いわゆるペアレンタルコントロール機能を活用したり、予定を入れてしまって朝から外に出てしまうとか。コミュニケーションだけでは補えない部分について【環境】を作ってしまうの。
タブレットも動画を見るだけじゃなくてお出かけ先を一緒に探したりすると、また違った楽しい使い方が出来そうですよね。インターネットを避けて過ごすことは出来ないから、ポジティブに活用できるといいですよね。
確かに、イライラ怒るばかりじゃなくて出来ることがありそう。
頑張ってね!
▼親業についてもっと知りたい!
そんな方はこちらの子育てコラムもどうぞ
https://www.oyagyosaitama.com/子育てコラム/
- 渡邉 加奈子
- 娘が2歳のときPowerWomenプロジェクト在宅スタッフ登録をし、アンケート入力や事務局代行などを行う。その後【笑顔で働きたいママのフェスタ】イベント本部のスタッフとして、パートタイム勤務を経て正社員に。第2子の産休育休を経て現在は短時間正社員となる。ふたりの子供たちに挟まれて寝るのが何よりの幸せ。育児がひと段落したら趣味の切り絵と三味線を再開するのが夢。
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