急な子供の発熱。でも仕事を休めない！
そんな時に、頼りになるのが病児保育所です。

でも、近くに病児保育所がなかったり、定員がいっぱいでキャンセル待ちになったりということもしばしば……。
もっと病児保育所が近くにあればいいのに、という声が多く上がっています。

その病児保育所増設に、国が力を入れるというニュースが入ってきました。

厚生労働省が病児保育施設の設置後押しに乗り出す

先日、2016年度に厚生労働省が病児保育の施設の普及を後押しする、というニュースがありました。

このニュースによれば、病児保育施設の施設整備や改修に対する費用の2/3を厚生労働省が補助してくれます。

今、病児保育の年間利用者は57万人ですが、2020年には延べ150万人まで増加させるよう病児保育施設の拡充に努めると目標を挙げています。

また、病児保育の規制を緩和することにより、病児保育施設を設立しやすくする方針です。
規制緩和に関しては、看護師の配置をしなくていいなどの項目も含まれており、病児保育の質の低下を懸念して、現在、協議中です。

今の病児保育の種類と問題点

病児保育には3種類あります。

• 病児・病後児対応型
• 体調不良時対応型
• 訪問型

各規定は、それぞれ異なっています。

「病児・病後児対応型」の病児保育の規定

看護師は、利用児童おおむね10人につき1名以上配置。
保育士は、利用児童おおむね3人につき1名以上配置
病院・診療所、保育所等に付設された専用スペース又は本事業のための専用施設であること。

「体調不良対応型」の病児保育の規定

看護師等を常時2名以上配置（預かる体調不良児の人数は、看護師等1名に対して2名程度）。
保育所の医務室、余裕スペース等で、衛生面に配慮されており、対象児童の安静が確保されている場所

「訪問型」の病児保育の規定

預かる病児の人数は、一定の研修を修了した看護師等、保育士、家庭的保育者のいずれか1名に対して、1名程度とすること。

今の病児保育の問題点

今、国の補助を受けている病児保育施設数は25年度で計1,705施設あります。
年々増加傾向にありますが、現状ではまだまだ足りておらず、季節によっては待機児童がでることが多いのが問題となっています。
各地域によっても、病児保育の施設数に差があります。

また、病児保育施設運営には他の問題もあります。

病児保育は病気になってからくるもので、人数が読めないのです。保育児童が0人のこともあれば、満員のこともあります。
それによって、保育側の人数も調整しなければいけません。

病児保育は、決して簡単な運営ではありません。
また、感染症によっても対応が違うため、専門的な知識も必要となってきます。

資金確保も大変で、助成金だけでまかなえることは少なく、施設によっては、祭りなどに出店をして、運営費を調達しているところもあります。

病児保育を実際に利用したママさんの声

Sさんの病児保育体験談（大阪府枚方市在住）

枚方市には、病児保育室が4ヶ所あります。
そのうち、小児科と併設されているところが3ヶ所で、あとの1ヶ所は市立病院に併設されています。
わたしは、まだ利用したことがありません。

病児保育は事前予約が必要で、市立病院以外の病児保育に預けたい場合は、併設されている小児科の診察を受けてからになります。
なので、前日に診察を受けるなどの準備が必要です。

当日の診察の場合は、診察を受けてから申し込みをして、人数に空きがあれば預けることができます。
市立病院の病児保育に預ける場合は、周辺の協力医院の診察を受け、診断書を書いてもらってからの予約になります。

前日の夜に調子が悪くなった場合や、当日の朝に調子が悪くなった場合は、遅刻必須なようです。
仕事になかなか穴が開けられないワーキングママにとっては、とても使いづらい制度だと思っています。

Mさんの病児保育体験談（東京都調布市在住）

私が住んでいる調布市では、市内に2箇所の病児保育施設があります。
市役所で年度ごとに申し込み登録をして、利用する際電話で予約をして空きがあれば病児保育を利用できます。

1箇所は小児科と併設していて、そこで診断書を作成してもらい、病児保育用の個室で隔離。
もう1箇所は、病児専用の保育施設です。

ともに最寄り駅から少し離れていて、夕方5時半までに迎えが必要（延長保育はなし）なので、利用者として使うにしてもその時間までにお迎えが出来るかどうか？
普段と違う場所に預けに行くため、職場に遅刻することが多く、そして仕事途中で早退するとなったらさらに迷惑をかけることになります。

追加費用は特にかかりませんが、人数制限もあり、移動が不便、そして全ての持ち物に名前を書いて一つにまとめる必要がある。
予約してもキャンセル待ちは当たり前、という激戦区です。

Tさんの病児保育体験談（埼玉県在住）

わたしも利用する予定で病児保育施設に予約の電話を入れましたが、とても大変でしたので結局利用せずに仕事を休みました。

事前に病児保育施設と併設されている小児科で受診し診断書を書いてもらう（かかりつけの小児科ではNGでした）。
さらにそこから予約を取らなくてはならないので、受診後に空きがなければ預けられません。

他にも細かい書類の提出や持ち物の準備もあり、病気の子供の世話をしながら手間のかかる作業が多くて諦めた記憶があります。

Nさんの病児保育体験談（宮城県仙台市在住）

利用の流れは以下の通りでした。

• 病児保育がある病院への事前の登録が必要
• 利用したい場合は、医師の診断書が必要（利用する病院のものでなくてOK）

ただし、インフルエンザなどの感染症の場合は利用不可。
空きがあれば、当日朝に利用病院での診断をうければ可。

利用施設の現状。

・仙台人口103万人に対して、4箇所
・定員はそれぞれ4名
・子どものお世話をしてくれるかたは、２人(子ども2人に対して大人１人)

仙台では、ボランティアの方のようでした（保育士さんかどうか不明）。
医師はお昼頃に1度診断にきてくれます。

利用申込について。

• 利用は4名までですが、前日からの利用している方が次の日の予約を優先的にとれるため、時期的に全く利用不可な時期あり
• 利用料は1日2,000円 食事類は持参

関東エリアだと、病児保育（まさに病気中）と病後保育（回復期）に分かれているところもあると思います。
仙台では、一緒でした。

子どもは10回程度お世話になったかと思います。

今回の厚生労働省による助成制度によって病児保育はどうなるか

今回の助成制度によって、病児保育は増えると思います。
そのため、待機児童は減ると考えられます。

しかし、不安定な病児保育の運営を続けるのはとても難しいですし、利用する制度が面倒であるという問題点は残ります。
人員削減を行ったり、保育の質が落ちたりする懸念や、利用制度の見直しが必要となってくるのではないでしょうか。

看護師配置をしなくていいなど、規制緩和が広がれば、設立数は増えるものの、病児保育の質の向上については疑問が残ります。

平成24年7月より、全国病児保育協議会認定の病児保育専門士という資格ができました。
病児保育に特化した資格で、子供の発達のみならず、小児疾患についても網羅されているのが特徴です。

この資格が、今後の病児保育事業拡大に大きな役割を果たすのではないでしょうか。

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