「子どもたちの健康な足の成長は、ママの正しい靴えらびにかかっている!」と始まった『こども想いのくつえらびアンバサダープロジェクト』。
その中の『マイスター養成講座』で、「足と靴のインストラクター」が話してくれた内容は、すべてのママたちにとってもためになることばかりでした。
- 子どもの足の測定は、何ヶ月おきにすればいい?
- この間測ってもらったら16cmEEだったので、ネットで買ってもいいですよね?
- 子ども自身が履きやすい靴がいちばんいいと思うのですが
こんな質問にも自然と答えられるよう、大事なポイントをお届けします!
大切なのは「足」「フィッティング」「靴」
「出産直後は”赤ちゃんの足を守らなきゃ”ってみんな思うのです。特に第一子のときは問題意識も高いので。でも幼稚園に入るころには、そこまで真剣には考えなくなるのです」
という、丸紅フットウェアで子ども靴「IFME(イフミー)」の開発に携わるフーセ代表 山田彩乃さんの話を聞いて、思わず納得するママも多いのでは?
子どもが小さいうちに、ママ自身が靴えらびの正しい知識を身につけることが何よりも大切。
山田さんによると、靴えらびで大切なのは「足」「フィッティング」「靴」の3つだといいます。
「足」とは、足の大切さと成長についての知識。
だいたい、1〜2歳ごろは1サイズ(5mm)あがるのに3〜4ヶ月、2〜3歳では5〜6ヶ月、4〜5歳では6〜7ヶ月かかるそう。
でも、これはあくまでも平均値で、個人差がかなり大きいんだとか。
「兄弟でも全然違いますし、3歳でも1〜2歳の子と同じスピードで成長する子もいます。だから1〜2歳の子の成長スピードである3ヶ月ごとの測定が必要です」(山田さん)。
安心のための「JIS規格」に落とし穴あり!?
しかし、計測だけではぴったりの靴は選べません。
なぜなら、同じサイズでもメーカーによってサイズ感が全く異なるから。
この原因は、本来なら安定した水準の工業製品を供給するための国家基準「JIS規格」にあるそう。
例えば机の場合、同じ「7号」であれば違うメーカーでも高さはすべて一緒。
しかし、靴の場合、靴ではなく、なぜか「足」のサイズに基準が置かれているのです。
「もし奇跡的にまったく同じサイズのAさんとBさんがいたとしても、足の柔軟性や痛がり方、筋肉質なのか、骨っぽいのか、脂肪が多いのかなど、人それぞれ。しかも人間の足は立っている時、座っている時、また一歩の中でも蹴りだす時、着地するときで足の形は一定ではありません。そのため、メーカーごとにそのJIS基準に合う靴のサイズの解釈が違い、長さや幅などが異なるのです」(山田さん)
足の長さと足幅の比率まで合わせて「23cmEE」(ローマ字が幅を表す)といえばわかりやすい気がしますが、それが逆にJIS規格の落とし穴になっているわけです。
今、小学生や中学生の外反母趾が問題になっていますが、それはサイズの合わない靴が原因の一つだと言われています。そのため、同じメーカーの靴だとしてもフィッティング(試着)は必須です。
「足に対して小さい靴を履いている場合、靴が小さくても、足は靴を突き破りません。つま先側は細くなっているので、横からも前からも圧力がかかって、指が曲がってしまいます」(山田さん)
逆に、「すぐ成長するから」とよく大きめの靴を選びがちになりますが、大きい靴にも問題があります。
靴がゆるい場合、靴の先の方の本来足が入るところではない狭いスペースに足が入り込んでしまい、つま先が詰まって靴が小さい時と同じような状況になってしまうことがあります。
また、無意識のうちに靴の中で足がずれない様にぐっと足の指に力が入って丸まってそれがずっと続くと指が曲がってしまうハンマートウという症状がおこる場合もあります。
これが「フィッティング」の大切さ。適切なサイズはかかとで合わせてつま先に5〜8mmの余裕(あそび)。「大きすぎる靴でも小さすぎる靴でもダメ」なのです。
「いい靴」の選び方と正しい履き方とは?
では、3つ目のポイントである「靴」はどのように選べばよいでしょうか?
大切なことは、
- 足の曲がるところで靴が曲がること
- かかとがしっかりホールドされ、かかと部分の硬さがきちんとあること
- 靴の中で足が動かないように調整できること
- つま先があがっていること
の4点。
(1)については、歩くときに子どもの足の甲の曲がる部分で、きちんと靴が曲がることを確認。靴を折り曲げてみて、違う位置で曲がる靴はNGです。
(2)のかかとの硬い靴は、本来なら現在市場で売られている靴よりももっと硬くてもいいくらいなんだとか。
(3)は、靴の中の「遊び」が5〜8mm程度あり、きちんとベルトなどで固定できることが重要。
(4)については、蹴り上げがまた上手ではない子どもの場合、つま先があがっていない靴だと転んでしまうそう。
また、靴そのものの機能や形もですが、履き方も重要だといいます。試着のときに、
Step2. かかとをトントンして、正しい位置に収める
Step3. ベルト等で固定する
ということが、正しく靴を履くためのポイント。
「足の形は人それぞれなので、さまざまな足の甲の形に合わせて調整できるのが”いい靴”。ひもを締める強さで調整し、きっちり固定できるひも靴は、靴と足ををフィットさせられるので◎。ただ、毎回ひもを結ぶのが面倒で、ゆるめに結んでスポッと脱ぎ履きするのでは、あまり意味がありません。毎回ぎゅっと結ぶことができないのえあれば、その子にとってはいい靴とは言えません。つまり、誰にとっても、どんなときでも、”絶対にいい靴”はないのです」(山田さん)
そんなときにも目安になるのが、「1本ベルトよりも2本ベルト」「1本ベルトなら細いものよりも太いもの」を選ぶと、より安定感があっていいそう。
とはいえ、お食事会のときは素敵な靴を履きたいし、足には元に戻ろうとする力があるので、短時間なら神経質になりすぎなくても大丈夫。
「靴えらびはフィッティングに尽きます。足と靴の知識は、フィッティングのために必要なもの」と山田さんはいいます。
靴づくりにも関われる夢のプロジェクト
3つのポイントいかがだったでしょうか?
今はネットで情報が氾濫していて、こういったポイントを「足と靴のインストラクター」に聞かなくても大丈夫……と思ってしまいがちですが、ネットや口伝えで得た情報には間違ったものが混ざっているのが現状です。
例えば外反母趾用の靴が出回っていますが、その多くが外反母趾で幅が広がっているから広い幅の靴を提供すれば良いという安易な考えに基づいています。
そういった外反母趾用の靴を履くと外反母趾が悪化するケースがあるという報告がされていますが、中々正しい知識が広がっていないのが現状です。
たくさんある情報に惑わされない正しい知識を身につける「くつえらびアンバサダープロジェクト」には、「マイスター」「アンバサダー」「応援隊」という3つの関わり方があり、次の日からすぐ知識を活かすことができるのが魅力。
さらに、ママたちの声が直接商品に反映される夢のようなプロジェクトです。
今回、IFMEの開発に携わる「足と靴のインストラクター」山田彩乃さんのお話は、2016年9月6日に開催された「第一回マイスター養成講座」の講義内容。
学んだあとは、実際に採寸して、フィッティングをして、実践できるので誰でも安心して参加できます。
IFMEプロジェクト事業部マーケティングマネージャーの浮島寿彦さんも、以下のようにママたちの活躍に期待を寄せています。
「マイスターは、直訳すると親方とか、最上位とか、何でも知っているという意味があります。
子どもの靴えらびは、実際に靴をえらぶお母さんの感性が大事。
靴についての知識を身につけ、実践も積んで、近い将来、ママたちに靴づくりの企画やプロジェクトに参加してもらいたいですね」
- 吉田 理栄子
- 1975年生まれ、徳島県出身。大学卒業後OL生活を満喫するも、昔の夢をあきらめきれずマスコミ業界へ。旅行系出版社などを経て、雑誌『ロケーションジャパン』編集長就任。産後半年で復職したが、ライフワークバランスで悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋フリーランスに転身。旅、人、女性の働き方などをテーマに執筆活動を行う。
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