100人分のポートレートを撮影して作品集を作りたい!その名も『ポートレート100人斬り』という企画を立ち上げ目下撮影に取り組んでいるのは、東京都八王子市を拠点に活動するフリーフォトグラファー橋本永美子さん。
結婚と出産を機に、雇われずに自由に働くことを目指し、2017年4月よりフリーフォトグラファーとして本格的に活動をスタートさせた3歳差姉妹のママでもあります。
好きなこと、これまでの経験、悩んだことが、ひとつひとつレンガを積むようにしっかりとした土台となっている現在の働き方についてお話を伺いました。
※本記事は2019年9月に都内で行われたトークイベントKodomotoCameraFes!を取材し、<働き方図鑑>にアレンジしました。写真左が橋本さん
現在の活動・ポートレート撮影とは?
ブログやFacebookで見られる、いわゆる『プロフィール写真』は職業や活動など、何をしている人なのかを伝えることが目的です。
イメージを限定するプロフィール写真に対し、ポートレートはイメージを最大限に広げるもの。
ポートレート100人斬りの企画では、モデルとなってくださる方の普段のイメージを裏切るような写真も撮りたかったので、あくまで『作品づくり』として理解いただける方に撮影を受けていただいています。
ポートレートを撮るようになった理由とは?
SNSを開けばきれいな写真を撮るカメラマンさんがたくさんいて、自分の作品と見比べてはネガティブな気持ちになってしまって…カメラマンとしての方向性を悩んだ時期がありました。
そんなときある方に「橋本さんはポージングをつけて大人のポートレートを撮るのが上手だから、それをもっと押し出してみたら?」とアドバイスをもらいました。
確かにポートレートを撮るのは好きでしたが、深く考えたことがなかったので、なぜ好きなんだろう?と理由を考えてみました。
20代の頃、アパレルブランドの販促担当としてブランドのメインビジュアルを作る仕事をしていました。
具体的にはバイヤーからのコンセプトを集めブランドテーマを決め、プロのモデルを起用し、カメラマンとヘアメイクにイメージを伝えて指示を出す、出来上がったイメージ写真をもとに販促アイテムを制作する、という仕事です。
撮影では自分でポージングをして「こんなふうに撮ってほしい」とカメラマンさんにイメージを伝えることもありました。
ブランディングを意識した撮影に携わってきた現場の経験がとても楽しく、そして忘れられず、ポートレートを撮る世界観づくりの活動につながっているんだと思いました。
100人分のポートレート撮影
ポートレート100人斬りの企画を決めた際に、募集の条件も考えました。
- 撮影料は言い値で行う
- プロフィール写真は撮らない
- お子さんは対象外
無料で、とも考えましたが自分が疲弊してしまっては続かない。
金額に応じてお渡しするカット数を決めました。
ときには普段のイメージを裏切るような写真が撮りたかったので、あくまで『作品づくり』として理解いただけることを条件にしました。
ポージングを細かく指示させてもらうため、意思疎通が必要なこともあり基本的に大人を対象としました。
2019年2月にFacebookで募集をかけたところ、たくさんの方にいいね!やシェアをいただき、なんと6月までの予約が一気に埋まったんです。
事前に打ち合わせをするなかで世界観が決まることもあれば、インスピレーションや撮影現場のひらめきから世界観をつくっていくこともあります。
服や小物を使ってポージングを工夫したり、自分の妄想力をぶつける撮影は本当に楽しいです。
撮影が50人を超えたあたりから、何もしなくても申しこみが入るようになり、自分でも驚いています。
『100人斬りの人』と覚えていただき、その場で申し込みをしてもらうことも増えました。また仕事であちこち飛び回るのが夢だったのですが、100人斬りをきっかけに遠方への出張なども実現しました。
現在74名の撮影をさせていただいており、前半50人分の写真展も開催することになりました。(※2019年9月12日時点)
今後は写真集をつくる、展示をする、ポートレートメニューを固めることをしていきたいですね。
新しい自分の魅力を発見できるメニューを作りたいです。
※写真展【ポートレート100人斬り中間報告】は9月中に盛況のうちに開催終了。そして撮影申し込みも100人達成したとのことです。
ポートレート撮影の醍醐味とは?
20代からシニアまで幅広い年齢の方のポートレートを撮影させていただきましたが、誰ひとり「美しくない」ということは無いんです。
誰でも絶対にきれいな顔の角度、美しい瞬間を持っています。
ポートレート撮影では、その美しさを見つける宝探しのような楽しさがあり、いつもワクワクします。
コミュニケーションをとりながらその方の人生に触れることもできたり、撮影しながら私自身が感動してしまうことも。
そんな感動があるポートレート撮影が、本当に大好きなんです。
編集後記
人前で話すことが苦手とおっしゃっていた橋本さんですが、好きなことに突き進んでいる姿が清々しく、カッコいい!と純粋に話に引き込まれました。
ポートレート100人斬りの過程やこれからの夢を語る様子からは、もはや誰かと自分を比較するというよそ見すらできないほど、進むべき一本の道がまっすぐ伸びていることが伝わりました。
過去の経験や悩みがあったからこそつながっている道だという事実も、会場全体が話に引き込まれた大きな原因だと思います。
好きなこと、すべきことに出会えた人は幸せだと羨まれるかもしれません。
ただ橋本さんも悩んだ時期があるからこそ進むべき道が見つかったのも事実。
実はカメラマンとして一度目の起業では思うような活躍につながらず、第二子の妊娠・出産を経て現在の活動は2度目のリスタートだそう。
悩み苦しんだ時期を経たからこそ、忙しいほどに求められることがある今を心から楽しめているのかもしれません。
ポートレート撮影を通じて、魅力を引き出し人に光を当てながらも、ご自分の本質も光らせている様子が眩しいほどでした。
ポートレート100人斬り後半の写真展や写真集の実現、今後のご活躍が楽しみです!
●ポートレート100人斬り!
ハッピースマイルフォト 橋本永美子さん
Webサイト https://happysmilephoto.com/
ブログ https://ameblo.jp/happysmilephoto/
●KodomotoCameraFes!主催 こどもとかめら
https://www.kodomotocamera.com/
●撮影:松山佐保
https://sahomatsuyama.amebaownd.com/
- 渡邉 加奈子
- 娘が2歳のときPowerWomenプロジェクト在宅スタッフ登録をし、アンケート入力や事務局代行などを行う。その後【笑顔で働きたいママのフェスタ】イベント本部のスタッフとして、パートタイム勤務を経て正社員に。第2子の産休育休を経て現在は短時間正社員となる。ふたりの子供たちに挟まれて寝るのが何よりの幸せ。育児がひと段落したら趣味の切り絵と三味線を再開するのが夢。
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