10年で如実に感じる、親の老い
「介護保険ってよく聞くけど、あまりよくわからない……」
子育て真っ最中の私たちにとって、介護保険は「まだ先だし……」とか「まあ、大切な制度なんだろうな」という感じでいませんか?
最近、私は感じることがあるんです。
それは、「親の老い」
私には3人の子供がいるのですが、一番上と一番下の年齢差は10歳。
一番上が生まれた時と、一番下が生まれた時に、遠方から仕事の休みを取ってくれて、産後の手伝いをしてもらいました。
ただ、一番下の子の時は、何かが違いました。
そう、「親の老い」です。
赤ちゃんの娘を抱っこするにも、床からスッと立てない。
食事を作ってくれた時も、メニューがパッと思いつかない。
家の廊下を歩く後ろ姿がちっちゃくなった。
そう、10年前に娘の子守をしてくれていたテキパキ動く元気なばあばではなく、確実におばあちゃんになってる。そう実感しました。
そして、親が私を守ってくれる存在ではなく、労わってあげなければいけない存在に変わった瞬間でした。
まだまだ介護が必要というレベルではありません。
でも、その介護が必要になるだろうな……、そういう歩みが見える瞬間でもありました。
皆さんにも親のそんな瞬間を感じたり、「そういえば……」と思い当たる親の老いはありませんか?
親には、いつまでも元気に過ごしてもらいたい。
そう願うからこそ、「そもそも介護保険って何?」「介護保険っていつから使えるの?」「どんな所でに使えるの?」をママ目線から介護保険サービスについて触れてみようと思います。
そもそも介護保険って何?
誰でも年を重ねるわけですが、年を取ると、体のあちらこちらに不具合が出ます。
介護保険とは、体のあちこちに不具合が出た時に、病気であれば医療、病気でもないものの加齢で生活に支障がでた時の生活援助など、「介護を必要とする高齢者の方々にかかる治療や介護負担を社会全体で支えようとする保険制度」のことです。
ということで、40歳を迎えると、迎えた月から介護保険料というものを支払います。
介護保険料、どうやって払うの?
40歳~64歳までは、他の保険料と同じように給料からの控除、もしくは国民健康保険の方は、その保険料と合わせて徴収されています。
65歳からは、支払い方法が変わります。
給料からの控除ではなく、年金からの控除、もしくは振替、振込という形になるだけで、みんなで支え合うというのは、若い人も元気な高齢者の方も一緒です。
「ふむふむ……私は3年後からか。でも、私たちが介護を受ける側になっても十分なサービスが受けられるのかな? 今でも毎月ぎりぎりなのに、それでも保険料を払わなきゃなのかな?」と、私の中の悪魔がささやき、ついつい考えてしまうのですが。
介護保険、いつから使えるの?
「40歳から保険料を払うのに、おばあちゃんにならないと使えないの? だいたい、おばあちゃんっていつ?」って、また私の中の悪魔が囁くわけです。
実は、40歳~64歳の間でも年齢と共にかかりやすい病気を前提に(医療保険加入が前提条件)申請対象になり、65歳以上はすべて申請対象。
その中で、要支援や要介護と認定を受けた方が対象になります。
「ウチは来年65歳だから、対象の病気が何なのかを考えなくてもいいのね」ではなく、介護保険制度の大切さを知って、介護保険をどう利用して、親の介護を考え、自分の生活、今後を考えるか、どんな所に使えるのかを、考えてもらればと思います。
介護保険の負担の例
介護保険というのは、「介護保険を使ってもいいですよ」となった時に、例えば1,000円のサービスを自己負担が100円で、介護保険が900円カバーしてくれるものです(2015年11月現在。自己負担率が1割の場合)。
要は、介護保険制度で高齢者の方々をみんな支え合おうと収めている皆さんの保険料や税金(財源は公費50%、介護保険徴収分50%)によって、その900円分をカバーしてくれるんですね。
「なんだ、たった100円か…」ではなく、1割分の負担で済むので、金額を分かりやすく1,000円で例えました。
ちなみに在宅介護で介護保険サービスを利用とすると、要介護5の方は、利用上限1か月360,650円分のサービスが受けられます。
その1割が自己負担額です。36,065円。
ですから、残り324,585円分、皆さんの支え合いがあるわけです。
そう考えると、払わないという選択肢を選ぶと全額負担ということになりますので、相当な覚悟が必要となります。
逆に、「保険料が本当に支払えない」「自己負担額も負担過ぎて払えない」という場合は、まずお住まいの役所の介護保険関連の窓口でぜひご相談を。
条件によっては、軽減措置等があります。
こういう情報を知っておくと、改めて介護保険、高齢者の方々をみんなで支えあう制度は大切だなって、実感します。
介護保険、どんなところに使えるの?
介護保険の要支援や要介護の認定を受けると、「自宅で生活しながら」や「施設などに入所して」と、認定を受けた範囲で利用ができます。
そう、自宅で生活しながら介護のサポートが受けられるんです。
これを在宅介護と言います。
在宅介護の特徴とは
在宅介護の大きな特徴は、施設入所のような一括サービスではなく、自宅に居ながらその人に合った介護サービスを受けられるという点です。
そのサービスのケアプランを本人やご家族、主治医や関連機関からの様々な意見を踏まえて作成してくれる(居宅介護支援・介護相談)のがケアマネージャー(通称ケアマネ)さんです。
ケアプランを作成するのは、ケアマネさんですが、在宅介護でどんなサービスがあるか、その特徴を知っておくと色々な相談もしやすくなるかと思います。
次回は、「在宅介護サービスの種類と特徴」についてご説明します。
- 大濵 育恵
- 株式会社健幸プラス 代表取締役。 看護大学卒業後大学病院で看護師として周産期医療に携わる。結婚、出産後は、地域の保健師、介護保険施設等で勤務を経験。地域と地域医療をつなぐ仕組みが必要と、2014年に地域と地域医療をつなぐ会社【株式会社健幸プラス】を設立。主に高齢者の方がメインの配食サービスの事業(健幸弁当DELI)で地域・医療・介護・福祉の連携を中心に、菜園の企画運営(健幸菜園)を行っている三児(10歳、4歳、0歳)の母。