仙台での東日本大震災から5年後
暮らし・生活

震災を体験した主婦が考える、災害に対して親が備えておくべきこと

災害に対して親が備えておくべきこと

2011年3月11日より5年がたちました。
あの日、仙台に住む私と当時1歳半の息子は、午前はならし保育へ、午後は家でまったりと過ごしていたのを憶えています。

突然起きた未曾有の災害。地震による揺れに加え、その後の津波。
ライフラインである電気、ガス、水道は全てストップし、その上雪が降る寒さに。
ラジオから流れてくる原発事故のニュース、一晩中頻発に起きる大きな余震、何の光もない真っ暗で不気味な一夜を過ごしたことを今でも忘れられません。

普段の生活が戻ってくると、災害に対しての危機感や備えが薄れがちです。
今後起きる可能性がある災害に対して、ママ達がどう備えておけばいいのか、東日本大震災の体験を通してお伝えします。

連絡先や伝達方法についての備え

携帯電話、iPhoneのイメージ画像

東日本大震災はお昼に起きたため、家族が会社や学校など、それぞれの場所にいました。そのため、家族間で連絡や安否の確認がとれず、不安な気持ちに押しつぶされそうに。
電話も完全にパンク状態でまったく通じません。

連絡がとれない場合、どこに避難するのか、どうやって連絡を伝達するのか、家のルールを決めておくことが必要です。

  • 家を空けて避難するときは、どこに避難するのかを決めておき、家族で共有する
  • 伝えたいことがある場合、ドアの内側にメモを貼る、近所の人伝えにする、などルールを決める
    (ドアの外側にメモを貼ると、家が不在だと他人にわかってしまうので防犯上危険です)
  • 家族の連絡先や学校・保育園などの電話番号は紙に控えて財布に入れておく

携帯電話の通話回線はパンクします。
当時はあまり多くなかったスマホのデータ通信は、今後の災害時でどれぐらい使用できるのかは全く不明ですが、ほぼ使用不可能と考えておいたほうがいいでしょう。

固定電話の回線は使える可能性がありますが、電話機に電気が通じていない停電時は使えません。

停電時に使えるのは、NTTの公衆電話や昔懐かしい黒電話です。
学校内にも電話が設置されている場合もあり、意外と穴場です。

子どものための備え

父親と子供のイメージ画像

震災は、子どもにとっても非常につらい出来事でした。

息子は、震災前まで抱っこなどしなくても夜寝ていましたが、震災後は親が必ず側にいることを確認しないと寝ることができなくり、5歳まで続くことに。
オムツが外れていたのに、トイレを失敗してオムツに戻ったという話もよく耳にしました。

2歳ぐらいまでの場合、一番困るのはオムツと食事です。
特に、ミルクを作るお湯の用意と哺乳瓶などの殺菌、食事については離乳食やアレルギー食などで困っているママさんが多くいました。

また、震災発生時に子どもと離れて働いていたママ達にとって、すぐに子どもの安否を確認することは難しく、不安がつのります。

知り合いには、津波が残していった水に腰の高さまで浸かりながら保育園に迎えに行ったママさんもいます。
災害が起きた時、保育園、幼稚園、小学校などがどういう対応をするのか(避難場所や安否確認の仕方、引き渡し方法など)きちんと確認しておくことが必要です。

そして何よりも、親と離れて不安な子ども達に普段から「かならず迎えにいくから大丈夫」と伝えておくことが大事です。

  • 災害時の学校の対応を必ず確認する(避難場所や安否確認の仕方、引き渡し方法など)
  • オムツや離乳食、アレルギー食など、通常必要なもののストックを持っておく
  • オムツ外れが終わっている場合でも、オムツを何枚か非常用袋などに入れておく
  • 自分で移動できない赤ちゃんがいる場合は、特に転倒や落下など地震時に備えた部屋作りを

大きな災害は、子どもたちの心に深く傷を残します。災害後の心のケアもとても大事です。
子どもを守るためにママができること、この機会に見なおしてみましょう。

電気がない生活への備え

電気、電球のイメージ画像

ライフラインが途絶えて一番困ったことは、「電気がないと何もできない」ということです。

我が家の場合、断水はしていませんでしたが、マンションのため水を組み上げることができず断水状態になりました。
車は電動式駐車場に入れていたため、使えない状態。

マンションのエレベーターは止まっているので階段しか使用できず、7階に住んでいる我が家は子どもをオンブしながら何度も階段を往復しました。

自分の生活がいかに電気に依存しているのかを実感しました。

食べ物の備蓄など、備えておくべきものは沢山あるのですが、いざ電気がないとなったときに自分の生活をみつめておくことが大事です。

以下は、電気がなくて困った事例です。

  • マンションだと断水状態になりトイレを流す水がなくなる
    (お風呂の残り湯を使ったり、公園で水を汲んで使ったりして対処)
  • 電気錠が装備されているマンションの場合、普段鍵を持たない人は部屋に入れないことも
  • ウォーターサーバは停電している場合、常温で使用可能なものが多いですが、水自体が殺菌されておらず、通電時にサーバーで殺菌される場合は飲料水としての使用は危険。特に夏場は注意が必要(水が殺菌済か未殺菌かはメーカーに問い合わせてください)
  • 灯油ストーブは、灯油が入っていても通電していないと使えないものがある

普段便利で使っているものが、全く役に立たなかったり、ウォーターサーバのように危険になる場合もあり注意が必要です。

「今の暮らしで、もし電気がなかったら?」と一度考えてみてください。

「意識」することで備えることができる

災害に対する危険や避難については、各自治体から発信されている情報に耳を傾け、食料などの備蓄、非常用袋などの用意することがもちろん大事です。

それに加えて、災害を「意識」することです。

家具を買うとき「ここに置いたら地震の時に危ないかも」、物を片付けるとき「上から落ちてきたら危ないよね」。
というように、家事を行う中でママが意識できることはたくさんあります。

東日本大震災から5年目を迎える今日、災害に対する備えなどをもう一度見なおしてみませんか?

人との繋がり、助け合い

東日本大震災では、ほんとうに多くの方に助けていただきました。

地震がおきてからすぐ、雪が降ってきて家の中に戻る人も出てきたとき、7階の部屋にも戻れず車も出せない私と息子のために、「ここで避難しとき」とご自分の車を出して下さった同じマンションのご夫婦。

車の中で泣いていた息子のために、毛布やお菓子を持ってきてくださった方々。
3月12日、パパと3人で歩いていたら見ず知らずのおじちゃんが「食べるものあるか?朝ごはん食べたか?」とリュックの中からパンを出して下さいました。

避難所では、たくさんの見ず知らずの方から「お菓子あるよ」「離乳食足りてますか?」と声をかけていただきました。

ほんとうに暖かくてありがたく思ったのを憶えています。

大人だけでの被災も大変なのに、小さな子どもを抱えての被災はもっともっと大変です。

災害のことを忘れずに、どこか頭の中に置きながら生活をすること。
自然災害を防ぐことはできなくても、ママができることはたくさんあります。

ママも子ども達も、家族みんなが笑顔でいるために!


中村 万智子
中村 万智子
大阪生まれの関西人。転勤族のため、現在は福岡に在住。2児のママ。 現在は、フリーランスとして、WEBデザイン、グロースハッカー、ライターとして活動中。
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