2015年12月17日(木)に、起業しているママさん(パワーウーマン)4名を対象にした、お金についてのワークショップが開催されました。
講師として話してくださったのは、ブロードマインド株式会社 ファイナンシャルコンサルティング本部のグループリーダー、杉田祐子さん。
現役バリバリのファイナンシャルプランナーさんだからこそ話せるお話はとても分かりやすく、ママさんたちに知っておいてほしい内容でしたので、許可をいただいて再現記事をお届けします。
「お金のことで心配な点はあるけれど、どこから考えていいか分からない」というママさんは、ぜひご覧ください。
以下、杉田さんが当日にお話していた内容です。
(取材・撮影・執筆:犬養 拓)
老後に必要な生活資金はいくらか
私たちブロードマインド株式会社は、ファイナンシャルプランナーが集まった会社(FP会社)としては老舗です。
普段は、大手企業さんからの依頼によるセミナーや、丸ビル、恵比寿ガーデンプレイスなどで一般女性や公務員の方々に向けたセミナーを行っています。
私自身は、ファイナンシャルプランナーとして、一般のお客様、数百名とお金についてのアドバイスをさせていただいています。
「資産運用は何千万円もある人でないとできないのでは?」というイメージをお持ちかもしれないのですが、「毎月少しずつ貯金をしたい」など無理のない範囲でのご相談も受けています。
先日お話させてもらっていた例では、ご主人が行った住宅ローン試算と私が行った試算で、15年後に1,500万円の差が出たケースがありました。
本日は、皆さまのマネープランについてのお話をさせていただきます。
金利と銀行のこと、知っていますか?
まずは、金利と銀行についてのお話を、クイズを交えてさせていただきます。
私がファイナンシャルプランナーの担当をしているのは、40代~50代の方々が多いです。
その方々は、だいたい銀行にお金を置いていますので、まずは銀行のことを知ってもらいたいと思います。
普通預金と定期預金だと、普通預金の方が金利は低いです。
では、今の普通預金の金利、何%かご存じですか?
参加者Sさん「0.046%?」
近いですね。今は、メガバンクで0.02%ぐらい、ネットバンクで0.1%ぐらい。
定期預金だと0.1%ぐらいです。
手元のお金を銀行に預けて、倍になるのは何年後?
それでは、手元に100万円ある人が倍の200万円にしたい場合を考えてみます。
金利が0.1%の定期預金に入れると、何年間で2倍になると思いますか?
これは、「72の法則」というものがあります。
この式で算出できるんです。
72÷(金利の%)=資産が2倍になる年
・金利が0.1%の場合
72÷0.1=720年後
・金利が0.02%の場合
72÷0.02=3,600年後
金利が0.1%だと720年、0.02%だと3,600年かかってしまうんですね。
もうとっくに生きてないですよね(笑)。
銀行にお金を入れておけば増える時代ではなくなった
皆さまのご両親の時代など、過去で金利が良い時は8%ぐらいありました。
何も考えずにお金を銀行に入れても増えていたんですね。
でも今は違うんです。
老後の生活資金に必要な平均額は7,200万円
人生の三大出費は、「住宅購入」「教育費」「老後の生活資金」とされています。
それぞれいくらぐらいかかるのか、以下は、厚生労働省がとった全国平均の数値です。
- 住宅購入:3,600万円
- 教育費:1,900万円
- 老後の生活資金:7,200万円
教育費については、大学全入時代を前提として、高校から私立に入ったとして0〜23歳までにかかる試算です。
老後は後にくることなので、なかなか30〜40代で意識している方は多くありません。
でも、実は一番怖いのは老後なんです。
住宅購入と子どもの教育が終わって、さあ老後資金を準備しようと思っても、7,200万円の準備はなかなか難しいです。
ですから、早くから準備を始めるだけでも、楽になります。
いかにスタートを早く切るかが大切なんですね。
老後の生活資金、毎月いくらかかる?
老後の生活資金には、国からの年金や会社からの退職金も加味してOKです。
それでは、ご自身で準備しなければいけないのはいくらかを見ていきましょう。
今、年金の受給開始を65歳から67〜68歳に遅らせる法案が提出されていますが、ここでは65歳として計算しますね。
60歳以降を、三つの期間に区切ります。
- 無収入期間(60歳の退職から年金受給開始の65歳まで)
- セカンドライフ(65歳から)
- サードライフ(ご主人が亡くなってから)
「1.無収入期間」でかかる生活資金
まず、「1.無収入期間」と「2.セカンドライフ」では、いくらあったら生活できるでしょうか?
平均金額は、娯楽費なしで25万円/月だと言われています。
意外と多いですよね。
家にいる時間が増えると固定費(光熱費、ガス水道費)が上がりやすいのも理由の一つです。
これがご夫婦で旅行に行くこともある場合は、35万円/月になります。
ここでは、間をとって分かりやすく30万円/月で計算してみます。
「1.無収入期間」の5年間でかかるお金は、以下になります。
30万円/月×12ヶ月×5年=1,800万円
5年間で1,800万円がかかります。
「2.セカンドライフ」でかかる生活資金
年金でもらえる金額、日本全国の平均は、夫婦で21.6万円/月です。
ご主人は厚生年金の場合が多いですね。
ただし、現時点での年金制度は保つのが難しいと言われています。
私たちが払っている分を今の高齢者に振り分けているんですね。
ですので、「年金でもらえる金額は下げて想定してください」とファイナンシャルプランナーは話します。
一番多い意見は「20〜30%落として考えてください」というものです。
ここでは、仮に20%落として考えてみます。
21.6万円×0.8=17.28万円
年金としてもらえるのは、約17.3万円/月です。
先ほど、毎月かかる生活費は30万円/月とお話しました。
ですので、ご自身が用意しておかなければいけない金額は、以下になります。
30万円/月-17.3万円/月=12.7万円/月
毎月、12.7万円分を用意しておかなければいけないんです。
では、それがいつまで続くんでしょうか。
今の男女の平均余命は、以下の通りです。
- 男性の平均余命:86歳
- 女性の平均余命:89歳
「平均寿命」は、全ての人の平均ですが、出生時で亡くなるケースは多く、それも含まれているんですね。
それに対して「平均余命」は、「30歳まで生きた人がいつまで生きるのか」の数字です。
65歳から、男性の平均余命である86歳の21年間で計算してみます。
12.7万円×12ヶ月×21年=3,200万円
セカンドライフの21年間で3,200万円がかかることが分かります。
「3.サードライフ」でかかる生活資金
ご主人が亡くなってからが「サードライフ」と呼ばれます。
先ほどの平均余命の通りだとすると、3年間です。
生活資金は、一人が亡くなったとしても70%がかかると言われています。
光熱費などは、あまり変わらないんですね。
サードライフで毎月必要な生活資金は、以下のようになります。
30万円/月×70%=21万円/月
もらえる年金も下がります。
平均で8.6万円と言われています。
すると、毎月ご自身で用意しなければいけない金額は、以下の通りです。
21万円/月-8.6万円/月=12.4万円
サードライフの3年間で必要な金額は、こうなります。
12.4万円/月×12ヶ月×3年=446.4万円
サードライフ3年間で、約446万円が必要になります。
老後の生活資金に必要な金額まとめ
以上をまとめると、老後の生活資金に必要な総額は、以下のようになります。
- 無収入期間:1.800万円
- セカンドライフ:3,200万円
- サードライフ:446万円
合計で、5,466万円です。
国や企業からもらえる年金を引いて、ご自身で用意しなければいけないのが5,446万円ということです。
ここから引いて考えられるものは、例えば以下です。
- 退職金
- 個人年金などご自身で準備できているもの
退職金を1,000万円とすると、ご自身で用意しなければいけないのは、4,446万円。
いま35歳の方でしたら、60歳までの25年間で4,446万円を貯めないといけません。
一ヶ月あたりに換算すると、以下になります。
4,446万円÷25年÷12ヶ月=14.82万円/月
毎月15万円貯金しなければいけなくなります。
できそうでしょうか?
もし0.1%の金利がつくところに預けたとしたら、毎月14.82万円が約13万円になります。
タンス預金をしておくよりはいいですね。
もし3%の金利がつくところに預けたとしたら、毎月10万円になります。
少しでも金利がつくところに預けてあげるだけで、毎月必要な貯金額が減ります。
というように、ここでは「貯金を老後に向けてしておかないとショートします」というお話をしました。
次は、投資信託などの商品のご紹介ではなく、お金を貯めるための考え方をお伝えします。
次回に続きます
次回は、老後の生活資金を貯めるための具体的な考え方についてです。
この杉田さんやブロードマインドさんに個別コンサルティングを受けてみたいとご希望の方は、以下のページをご覧ください。
- 犬養 拓
- 「ともえ」編集長。 株式会社電通でクリエイティブ職や雑誌担当として12年間働いた後、独立。 2015年に生まれたばかりの男の子の父親。好きなものはスイーツとリラックマ。
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