ご褒美としてお小遣い(お金)をあげる時に気をつけたいこと
子供が小学校に上がると、気になるのが子供の「おこづかい」についてです。
皆さんは子供のおこづかいをどのようなタイミングで渡していますか?
毎月決まった額のおこづかいを渡すご家庭もあれば、必要の都度、必要な分だけおこづかいを渡すご家庭もあります。
また、テストで良い点を取ったらご褒美におこづかいを渡す、というご家庭もあるようです。
どの方法もメリット・デメリットがあり、どの方法が正しいとは一概に言えません。
ですが、テストで良い点を取ったら、といったご褒美制のおこづかいは、いくつか気を付けたいポイントがあります。
ご褒美制おこづかいの具体例とそのメリット・デメリット
補助的な手段としては有効
おこづかいを何かのご褒美として渡す場合、「何かの」にあたるのはお手伝い、勉強や習い事の進級などが考えられます。
具体的には、洗濯をたたむと1回10円といった方法でおこづかいを渡しているご家庭があります。
また、テストの点数がそのままおこづかいの金額になる、と話すママもいらっしゃいました。
習い事では、スイミングやピアノで昇級したら1回100円という方法にしているご家庭があります。
このように、ご褒美としておこづかいを渡すことは、「子供に勉強や習い事のやる気を出させるための補助」と考えれば有効な手段になるでしょう。
何度も怖い顔をして「やりなさい!」と叱るよりも簡単に子供を勉強に向かわせることができると考えるママもいるかもしれません。
子供から見返りとしてお金を求めるようになったら要注意
ですが、このようなおこづかいのあげ方は、子供の中で「見返りがあればやる、なければやらない」という考え方が育つ可能性もあり注意が必要です。
実際に、私が金銭教育講座を開催する中でも「初めはご褒美として上手く機能していたが、だんだんと子供の方から先に『これをやったらいくらくれるのか』と請求してくるようになった。何か違う気がする」と相談される例がありました。
子供の方から見返りを請求する状態になると、子供の頭の中では「何の為に勉強をするのか=おこづかいをもらうため」という考え方が出来上がっています。
この状態では、勉強は自分の将来の為にしていることだという本来の目的が薄れています。
お手伝いについても同様です。
お手伝いは本来であれば家族として当たり前の役割であり、お金の為にすることでありません。
本来の目的を見失うことは、将来的に働く意欲が湧かなかったり、家事労働の価値を感じられなかったりする原因につながります。
ご褒美制のおこづかいをしていると必ずそうなってしまう、という意味ではありませんが、「次のテスト、100点だったらいくらくれる?」などと子供から聞いてくる場合は黄色信号と考え、勉強やお手伝いの意義について、子供と話し合ってみましょう。
ご褒美としての価値を金額で表現する難しさ
ご褒美とおこづかいについて、もう1つ考えたいのは、テストに対する子供のがんばりやお手伝いに対するママの感謝の気持ちは「本当にその金額でいいのか?」ということです。
「お金には変えられない価値がある」
という言葉があります。
世の中にはお金で表せられないぐらい大切なものがたくさんあるということも、子供達に教えてあげたい価値観です。
子供がどれぐらいがんばったか。ママはお手伝いがどれぐらいありがたかったか。
どちらも本当は金額で表すのは難しい内容です。
こういったことは、あえてお金にしない方がいい場合もあります。
例えば、テストに向けてがんばった度合いが、子供にとってのがんばった度合いとママが示したおこづかいの金額に「え?これだけ?」と感じるようなギャップがあるかもしれません。
そういったすれ違いを避け、ママのうれしい気持ちをまっすぐ表現する為に、「ママもお金に変えられない価値で応える」という方法もあります。
おこづかいはご褒美と関連付けず毎月定額にしておき、テストのご褒美には、夜ご飯に大好物を作ってあげる。家族で出かけて楽しむ。抱きしめる。
などの方法でママの気持ちを表します。
ご褒美制のおこづかいで失敗しない為に大切な3つのポイント
最後に、ご褒美制のおこづかいで失敗しないためのポイントを3つお伝えします。
1.子供に主導権を握らせない
あくまで主導権は親が持つようにしましょう。
子供に主導権を握られると、子供がご褒美制のおこづかいをずる賢く利用し始めます。
思うような条件が出ないと、やってもしょうがないからと勉強そのものを投げる事態も考えられます。
将来的には働く意欲の低下にもつながる可能性があります。
子供が「今度○○だったら~」と条件交渉をし始めたら黄色信号と考え、勉強とおこづかいの在り方について話し合いましょう。
2.先に金額を伝えない
物事に取り組む前に金額を知ってしまうと、自分が今から使わなければならない労力がその金額に見合っているかを考えることができてしまいます。
すると、金額に見合わないと判断した場合、全力を出さない選択をすることもできてしまい危険です。
1つ目のポイントにある「子供に主導権を握らせない」を実行するためにも、先に金額を伝えないのは有効な方法です。
3.ご褒美をエサに使わない
ママ自身が、いつの間にかご褒美をエサに子供を釣り、子供を動かしている時はありませんか?
「ちょっと忙しいから洗濯畳んでおいて!100円あげるから。」という例です。
お金で動く子は、「人の気持ちはお金で動かせる」という考えを持ってしまいます。
無意識にこのようなおこづかいのあげ方にならないよう注意しましょう。
おわりに
おこづかいとの付き合い方は、子供が将来お金とどう向き合い、付き合っていくかにつながっています。
子供達はいずれみんな独り立ちし、自分でお金をやりくりしなければなりません。
その時になって困ることのないよう、小さいうちからしっかりした金銭感覚を身に着けさせたいですね。
- 横山 沙織
- ファイナンシャルプランナー(2級FP技能士・AFP)。おこづかいセミナー講師。子供金銭教育をテーマに活動する団体「FPmama Friends」に所属し、親子で学ぶおこづかい教室を開催しています。双子の娘+男の子の3児子育て中のママです。趣味は温泉巡りとベランダ菜園です。