出産前後のお金の話シリーズ、2回目となる今回は、出産前後に受け取るお金について調査しました!新しい家族を迎えるにあたり、何かとお金が必要になるこの時期。助成や手当はとてもありがたい存在ですよね。受け取りそびれることのないように、どのような助成や手当があるのかをしっかり確認しておきましょう!
妊娠~分娩(出産)で受け取るお金
妊娠~分娩(出産)するにあたり受け取るお金は、「妊婦健診の助成」と「(家族)出産育児一時金」になります。これらのお金については、『◆妊娠したらお金を考えよう:ver.1◆ いくらかかる?出産前後にかかる費用と収入を徹底調査!』(※リンク https://tomoe.life/15263)でも詳しく説明しましたね!
前回のおさらい
妊婦健診の助成は、自治体により「補助券」か「受診券」を受け取ります。『妊婦健診にかかる費用を補助する券』、もしくは『推奨される健診項目を受けられる券』という形で助成を受けます。
分娩に対する助成は、健康保険から「(家族)出産育児一時金」として1児につき42万円が支給されます(ただし、産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は40.4万円となります)。受け取るには申請手続きが必要になりますので、忘れず行うようにしてください。
詳しくはこちらから、ご確認くださいね!
『◆妊娠したらお金を考えよう:ver.1◆ いくらかかる?出産前後にかかる費用と収入を徹底調査!』
医療保険から給付金を受け取るのは、どんなとき?
ご自身で医療保険に加入されている方は、給付金が支払われる場合があります。医療保険では、正常妊娠・正常分娩では入院をしても給付金の対象にはなりません。ですが、重度のつわりなどで治療のために入院した場合や、帝王切開で出産する場合などには給付金の支払い対象となります。例えば、以下のような場合です。
給付金の対象となる例
・重度のつわりによる入院
・切迫流産・早産による入院
・妊娠高血圧症候群の治療のための入院
・妊娠に関連しない病気やケガでの入院
・帝王切開による出産
医療保険の請求漏れにご注意!
給付金を受け取るには、ご自身で請求する手続きが必要になります。加入している医療保険がどのような場合に給付金の対象になるのか、請求の方法や請求に必要なものなどを確認しておきましょう。
ちなみに、これらの例のように医療措置が必要な場合には国民健康保険も適用対象となります。正常な妊娠・分娩では費用は全額自己負担ですが、健康保険の対象であれば自己負担は3割となります。
医療保険は妊娠前に加入しよう!
医療保険は、妊娠が判明した後から加入すると、妊娠や出産に関連する疾病は保障対象から外すような条件が付く場合が多いです。また帝王切開による出産になれば、手術を受けたことになるのでその後もしばらくは保険に入れない場合もあります。ですから、医療保険への加入を検討する場合は、妊娠前から早めに考えておくと良いでしょう。
所得税の医療費控除
収入ではありませんが「確定申告」で「医療費控除」を受ける事で払い過ぎている所得税を取り戻せるかもしれない事を覚えておいてください。
自分と家族が1年間に支払った医療費が10万円(例外あり)を超えたときに「医療費控除」を受けられるので、その年の1月から12月までの家族全員の医療にかかった領収書(交通費含む。公共交通機関で領収書が無い場合はメモでも残しておきましょう)は必ず取っておきましょう。
・医療費控除の対象になるのは治療目的の医療費で妊娠・出産にかかった費用も含まれる
・条件を満たせば不妊治療や妊婦健診、妊娠中や産前産後の入院費、産後1ヶ月健診や治療目的の母乳マッサージも対象に
・医療費控除を受ける場合、会社員やパートタイマーなどの給与所得者で年末調整をした方でも確定申告が必要
子どもに対する助成はたくさんある
出産後、生まれてきた赤ちゃんにはどのような助成があるのでしょうか。子どもに対する助成には、次のようなものがあります。
児童手当
0歳から3歳未満:月額1万5000円
3歳から小学生:月額1万円(第3子以降は月額1万5000円)
中学生:月額1万円
※所得制限限度額以上の方は、年齢、出生順位にかかわらず一人あたり月額5000円の特例給付となります。
予防接種の補助
予防接種は、予防接種法に基づいて市区町村が実施する「定期接種」と、希望する人だけが受ける「任意接種」があります。接種にかかる費用は、定期接種は公費(一部自己負担)で受けられますが、任意接種は自己負担になります。例えばインフルエンザワクチンは任意接種です。12歳以下の子どもは2回接種になりますが、その費用は1回あたり平均3300円程度のようです。市区町村が実施する予防接種の種類や補助内容は自治体によって違いがありますので、詳細をお住まいの市区町村に確認しましょう。
健診の補助
乳幼児健康診査は、 乳幼児の病気の予防や早期発見、健康の保持・増進を目的に、市区町村で実施されています。健診費用は、各自治体で決められている時期の検査は自治体負担となるため無料です。
母子保健法により、1歳6か月児健診、3歳児健診はどの自治体でも実施されています。また、この2回の健診は、歯科検診も項目に含まれており無料で受けることができます。
その他、3~4か月児健診・9~10か月児健診は多くの自治体が実施しており、6~7か月児健診は半分近くの自治体が実施しているようです。1か月健診は自治体での実施、もしくは医療機関の個別サービスとして多くの赤ちゃんが受けています。
乳幼児健診の実施方法は、委託された医療機関で個別に受けたり、保健センターなどで集団で受けたりと各自治体により違いがあります。 詳細はお住まいの市区町村に確認しましょう。自治体で決められた健診以外は自費負担です。
母子手帳には、引っ越しの可能性などを含めて、お住まいの地域では実施していない時期の記入欄も設けられています。それらの健診は受けなくてもいいのですが、例えば記念になるからと自費で負担した場合には3000円~6000円程度かかるようです。
子ども医療費助成制度
子ども医療費助成制度は、子育て家庭の経済的負担の軽減や疾病の早期治療を促すために、全国で実施されている制度です。自治体によって助成の対象となる年齢や自己負担額に違いはありますが、全ての都道府県及び市区町村で実施されています。
子ども医療費助成制度を申請すると、『子ども医療費受給者証(※自治体により名称が異なります)』をもらうことができます。医療機関を受診する際には、保険証と一緒に受給者証を提示することで医療費の助成を受けられます。
受給者証の申請は、お住いの自治体の窓口で行ないます。子どもが加入している健康保険証や申請書など、申請に必要な書類は自治体によって異なるので、電話やHPで確認し準備しておきましょう。
子育て支援パスポート
子育て支援パスポート事業は、自治体の呼びかけに応じて協賛している地域の企業・店舗が、子育て世帯に対して各種割引・優待サービスをしたり、乳幼児連れの外出支援・応援サービス等を提供するものです。自治体で配布しているパスポートを受け取り、利用するときは協賛店の店頭で提示することによってサービスを受けられます。
平成29年4月からは、都道府県単位だった子育て支援パスポートが全国で相互利用可能になりました。お出かけに上手く利用したいサービスです。詳しくはこちらのリンクからお住まいの都道府県を検索してください。
内閣府『子育て支援パスポート事業 全国共通展開参加自治体リンク集』
出産お祝い
出産祝いをいただくと、家族が増えたことをみんなが喜んでくれていることが分かり、あらためて嬉しい気持ちになるものです。
現金でお祝いをもらったら
一般的な相場では出産祝いに対して、半分から3分の1の金額を目安にお祝い返しの品を選ぶ方が多いようです。 例えば1万円の出産祝いをもらった場合は、内祝いとして3,000円から5,000円程度のギフトを選ぶと良いでしょう。もちろん金額に関係なく一律に同じ品をお祝い返しとする家庭もあります。
教育費のピークは出産から15年後!
実は、子どもが生まれてから最もお金がかかるのは、高校生から大学生になるころ。ですから出産から15年後になります。お祝いや補助や助成金で入ってきたお金はお子さんのために貯蓄してあげるとよいでしょう。
学資保険や貯蓄性のある保険・金融商品についての記事も今後書きたいと思います。
まとめ
このように、妊娠~出産、そして赤ちゃんの健診や予防接種・医療費は大部分を公費で負担してもらえます。ただ、これらの助成は何もしなくて受けられるものではありません。大切なのは、このような制度があることを知っておき、「申請の手続き」を忘れずにすることです。時間のあるうちに、調べてみたり、必要な書類を集めたりと準備を進めるといいですよ!
次回は、『働き女子必見!産休・育休中のお給料はどうなるの?』についてお話しします!
- 横山 沙織
- ファイナンシャルプランナー(2級FP技能士・AFP)。おこづかいセミナー講師。子供金銭教育をテーマに活動する団体「FPmama Friends」に所属し、親子で学ぶおこづかい教室を開催しています。双子の娘+男の子の3児子育て中のママです。趣味は温泉巡りとベランダ菜園です。