子育てしながら私らしく働く(活動する)ママの学びイベントPowerWomenFes!2019が1月29日(火)渋谷キャストで開催されました。
資格を取ったり特技やスキルを活かして自分らしく働きはじめた。
そんな起業やフリーランスなどわたしらしく働く(活動する)女性が、もう1歩あゆみを進めるためのヒントやご縁をつくるイベントの目玉は先輩起業ママによるトークセッション!
『食』に関わるお仕事をするおふたりに、現在進行形の子育てや活動について、お話を伺いました!
<トークセッション出演者>
(写真左)つながるキッチン代表 中原麻衣子さん
https://tsunagaru.kitchen/
(写真右)パン・料理家。おうちパンマスター代表講師 吉永麻衣子さん
http://minnadepan.com/
東日本大震災を機に起業。食を通じて伝えたいこと
(中原さん)
中学一年生の娘と小学三年生の息子がいます。
『食』と『農』を軸に活動しています。
日本の食文化を未来につなぐため、「食」では、子供向けの料理教室、食の安全の講座、台所家庭教師として『感謝の食卓』、受験フードアドバイザーとして「ウカル飯ゼミナール」などを開講し、食を通じたお子さんの体づくりのサポートをしています。
『農』では、熊本県山都町の棚田を守る活動『つながるシェア田』を通じて、現在は熊本地震復興支援もしています。
学習塾とのコラボもしていて、机の上でする勉強以外にも料理体験を通して身につけるという方法を伝えています。
例えば、料理をしながら野菜を等分に切ったことがある子は、算数の割り算の概念を自然に理解していますし、食物の産地の会話をすれば、社会の学習にも役立ちます。
今の仕事を始めたきっかけ
(中原さん)
東日本大震災を経験し、人生観が変わったことが起業のきっかけです。
起業するまで13年間は役員秘書として会社員をしていて、二度の産休育休を経て、二度職場復帰を経験。
その育休中に趣味として「食」にまつわる資格を取得していました。
東日本大震災を経験し、自分の生活をもっと豊かにしたい、社会貢献をしたいといったような価値観に変わったのです。
思い立ったらすぐに行動!の性格で、東日本大震災が起きた2011年の年末には勤めていた会社を退職し、年明けに起業しました。
―――震災を機に生き方、働き方を考え直したという方は少なくありません。中原さんもそんな価値観の変化を行動に移したおひとり。震災がなかったら今はどうしていたと思いますか?
(中原さん)
恐らく起業していなかったでしょうね。今も役員のスケジュール管理などをしていたかもしれません(笑)。
―――食を通じて生活をもっと豊かにしたい、社会貢献をしたいと活動する中原さん。起業して7年目を迎えた今、この先の展望をお聞かせください。
(中原さん)
今まではママ向けや小さな子ども向けの食育講座を中心に行ってきました。今後は中学生くらいのお子さんも対象にして『食選力』を養うことにも力を注いでいきたいと思っています。
中学生にもなると、コンビニなどで自分で食べ物を買う機会が増えてきます。また、便利な時代で旬も何も関係なく食物が手に入る時代です。
ただ、選ぶものによっては添加物や農薬の問題など、自分の体や環境に様々な影響があることを知ってほしいです。
添加物の影響で無精子症だったり望んだときに妊娠できなかったり、そういったリスクがあるかもしれないということは、若いうちから学んでおかないといけないことだと感じています。
体は食べたものでつくられますから、髪の毛や肌にも影響が出てくりこともあり、中学、高校、大学生向けに『食選力』の講座をするために、教育の現場にも入っていけたらと思っています。
今の私だからできるパン作りの楽しさを伝えたい!
(吉永さん)
小学1年、年中、1歳3か月の3人の男の子がいます。
おうちパンマスターとして、パン作りの楽しさを伝える活動をしていて、クックパッドTVという無料アプリで毎週日曜日10時からパン作りの番組に出演中です。
地上波の料理番組ですと用意されたものをきれいに作っていますが、私の番組では生放送のライブ感を大事に、子供がいるからこそのハプニングなども隠さず(笑)わちゃわちゃと作る様子をお届けしています。
また、小学校でもおうちパン講座を開いたり、子どもでも忙しいママでも簡単にできるパンの作り方、パン作りを日常に取り入れられる方法を保護者の方に伝える活動も行っています。
『おうちパン』と呼んでいるレシピでは夜の5分間で生地をこねて、夜中に冷蔵で保存、朝起きてフライパンやトースターでぱっと焼くという作り方が可能なんですよ!
一般的なパン教室だと、こねて成型して焼いている間にお昼を食べて、1レッスンが4〜5000円といった感じが多い中、私も開業当初はそういったスタイルでレッスンをしていました。
ある方に「家にオーブンがない」と言われたのが、今のスタイルに変えたきっかけでもあります。
パン教室では習うだけ。
家では作らず、基本的にはパンは買うものという認識の方が多いのかと気づかされました。
そしてその方に「オーブンではなくトースターで焼けたら面白い」と言われたことが、パンはオーブンで焼くもの、と私が決めつけていたブロックを外してもらう機会となりました。
トースターで手軽に焼ける『おうちパン』レシピを考案し、レッスンも子供たちを足元で遊ばせながら参加費1500円ほど。簡単にパンを焼く方法が習える教室は気軽だと好評をいただきました。
どなたでも気軽に挑戦できる認定資格として、おうちパンのレシピを習得した『おうちパンマスター』が今では全国に約2000人ほどおり、私のレシピを各地で広めてくれています。
―――現在の働き方をする上で大事にしている想いはありますか?
(吉永さん)
ママたちが無理せずに笑顔でいることです。
教室の参加者には真面目な方が多いです。
パンも毎日焼かないとダメと思っていたり…。
でも、講師の私でも市販品を買うことはありますし、完璧を目指さなくてもいいのだと思います。
―――今後の展望を聞かせてください!
(吉永さん)
今は子供が小さく、手もかかりますし急な体調不良がることも。予定通りいかないことも多い毎日です。
今1歳3か月の末の子がプレ幼稚園に入るまでは、種まき期間だと思っています。
現在も2000人のおうちパンマスターを通じて手作りパンのある暮らしを広めていますが、自分が死ぬまでに家でパンを焼く風習が各家庭で広まっていればいいなと思います。
今後、起業したい方向けにメッセージを!
(中原さん)
失敗は成功の元。
頑張りすぎないことも大事です。
家族や友人など周囲に悩みを言うようにすると、思いがけないところで助け船が来たりします。
自分の思考が全てではありません。
自分ができることとできないことを分けて、周りに助けて育てていただくことも大切です。
感謝をしながら一歩一歩進んでいくこと。
私の場合は食の仲間という横のつながりも、他のジャンルの起業仲間もかけがえのない存在です。実は、吉永さんとはこの『Power Women プロジェクト」を通じて知り合いました。
最初はイベント『笑顔で働きたいママのフェスタ』にブース出展でエントリーし、いいご縁に恵まれました。まずは、一歩踏み出すことです。
(吉永さん)
起業は長距離走。いかに長く続けられるかが肝です。
私は飽きてしまうタイプなので、自分が楽しめる要素を見つけるようにしています。
最初は影響の範囲も小さく、自分一人で全てのことをしなければならない時期もあります。
先に起業している先輩方に教えていただいたり、今まで勤めていた会社のつながりを大事にしたり、このようなイベントでつながりができたりしました。
一人では絶対に無理なこともあると認識することです。
―――積極的に動くことが苦手な人はどうモチベーションを維持したらよいでしょうか?
(中原さん)
起業仲間を見ていると、すぐに行動できる人が多いのは確かです。
(吉永さん)
自分のやりたいこと、実現したいことが先にあってこその起業だとは思います。
その想いがなければ、なかなか続きません。
漠然と“お金のため”と考えていると、継続するのは難しいかなと思います。
(中原さん)
とにかく想いは大事ですね。
忙しい毎日の中で、自分は何がしたいのかと時には原点に戻ることも必要です。
(吉永さん)
私は家で仕事がしたかったということと、お仕事を受ける際にそれが子供にちゃんと説明できることなのかを基準にしています。
(中原さん)
起業してから昨年の春までの6、7年は、自宅サロンで少人数制の小さなレッスンを続けてきました。
今は子供たちも中学一年生と小学三年生になり、少し手が離れてきましたので、今まで積み上げてきたものをもとに、現在はキッチンスタジオを借りて受け入れ人数を増やしています。
でも、今も当初の想いからブレていませんし、子供の成長はあっという間だなと実感中です。
(吉永さん)
自分が好きなことで起業するうえで、子供には無理をさせない。あとはやっぱりしたいことがあるから起業するというスタンスは大切ですね。
起業しようかどうしようか悩んでいる方は、長く続けられるかということを考えるとよいと思います。
イベントの出展者さんで、見かけなくなった方もチラホラいらっしゃいます。
色々な事情があり、状況が変わることがあるかもしれませんが、1年でも2年でもとにかく長く続けるということを念頭に置いてほしいです。
『おうちパンマスター』の仲間も募集中ですし、3月には本が出版予定です。興味がある方はぜひ!
(後記)
お二人に共通していたことは、子供が小さいことを言い訳にせず想いを大切に、今できることから一歩一歩進み続けていくということでした。
吉永さんのお話を伺って、私の子供もパンが好きなので、フライパンやトースターで気軽にできるパン作りにチャレンジしてみたいと思いました。
また中原さんのお話を伺い、私は結婚10年にして出産したので、若いうちから食選力を養う講座が広まるのも素晴らしいと思いました。
きっかけやアイデアは色々なところに転がっています。熱意や働き方の軸を持ちつつも、自分一人で頑張りすぎないで、周囲に助けを求めているというところも印象的でした。
子育て中の女性が自分らしい活動をスタートさせるだけではなく、続けていくための大きなヒントをいただきました。
子育てや家庭と自分らしい働き方をどちらも自然体に、絶妙なバランスの取れた素敵なお二人でした。
(写真提供)
さとうみどり/おひるねアートさとうみどり、ポーセラーツサロンピーカブー主宰
https://ameblo.jp/peekaboo-porcelarts/
NOE/NOEカメラ
https://www.instagram.com/camera_noe
次回開催決定! PowerWomenFes!
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- 川崎 裕子
- 2016年9月イギリスより帰国。茨城県出身。家族はカナダ人の夫と2012年生まれの娘。ライター業のかたわら、新卒以来勤めた会社を退職し起業に向けて準備中。また、娘のインターナショナルスクールのボランティア活動に精を出している。