2016年3月14日(月)に開催された、「スナップスナップ『親・子ども・先生 きずなプラス プロジェクト』メディアセミナー」。
この中で、「周囲に会話が生まれる写真の撮り方」というトークセッションが行われました。
子どもを保育園や幼稚園、小学校に通わせながら働いている親にとって、写真は短い時間で子どもの様子を知ることができるツールの一つですね。
そんな「いい写真」の撮影には、どんなコツがあるのか、このトークセッションの内容を紹介します。
登壇者は、以下の方々です。
モデレーター:
北村 大輔(株式会社フォトクリエイト 教育写真事業本部長)
パネラー:
大豆生田 敬友(玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 教授)
田澤 里喜(玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 准教授)
大洲 早生李(一般社団法人 日本ワーキングママ協会 代表)
宮下 敬一郎(スナップスナップ フォトグラファー)
スナップスナップ|スクールフォト販売サイト
働く親たちは、子どもの日常を知りたい
北村
実際に働くお母さんたちは、保育園や幼稚園から子どもの写真が共有されることにどういったメリットを感じているのでしょうか?
大洲
働くお母さんたちの悩みは、子どもとのコミュニケーションがなかなか取れないというところにあります。
少ない時間で会話をして普段の様子をつかみとることは限界があるので、写真を通して園の様子やお友達との様子がわかるというのはニーズが高いのではないでしょうか。
北村
その上で、写真を使って幼稚園から共有してほしいのはどんな写真ですか?
大洲
私の子どもは幼稚園に通っておりますが、よくある写真は行事の写真などです。
でも実際には、普段の様子ってどんなだろうと思います。
子どもたちが何かに真剣になっている様子やお友達と楽しく遊んでいる様子など、撮られていることを子どもが意識していないような写真を欲しいと思っている親は多いのではないかと思います。
北村
まさに大豆生田先生が先ほどの講演でおっしゃった「普段の遊びの中に学びがある」ということを伝える写真が重要だということですね。
ではそういった写真の中で、家族の会話が弾んだ写真のエピソードはありますか?
大洲
私は子どもが3人おりまして、7歳の双子と4歳の男の子なのですが、一番印象深かったのは卒園アルバムです。
年少の頃はカバンの方が大きいくらいで、制服も長くてズルズルですし、そんな時から卒園するときには自分たちで劇もできるくらいに成長している、そんな全部が詰まっているのを見ると涙なしでは語れないというか……。
この3年間は親にとっても子どもにとっても貴重な3年間なのだろうなと思っています。
大きくなるし、物事もいろんなことができるようになる、そんな中で卒園アルバムは一生ものだと感じたことが一番のエピソードです。
周囲に会話が生まれる「いい写真」は、その中に物語がある
北村
続いて、大豆生田先生に伺います。
この前のセッションで「保育の見える化」という視点から、遊びの様子を共有することが大事だというお話を頂きました。
「ドキュメンテーション」という言葉で説明されていましたが、写真で残すことも大事だと思います。
では、写真を撮るときに、どのようなところに気をつけるべきでしょうか?
大豆生田
先ほどの「ドキュメンテーション」はクラス単位のものですが、もう一つさっきお話できなかったことに「ポートフォリオ」つまり、個々の子どものものがファイルになっているような発信の仕方もあります。
どちらにしても大事なことは、すごく素敵な表情をカメラマンの方は撮ることができると思いますが、そこに物語があるかどうか、しかも「学び」の物語があるかどうかということになると、難しくなってくると思います。
たとえば、先ほどのスライドで子どもたちが排水口を覗いているものがありました。
ただ子どもたちに「あれなに?」と聞くこともできますが、そこに保育者のコメントが入ることも重要になるかもしれません。
写真の専門家はいい場面を撮ることがうまいかもしれないけれど、その場で見ている保育者が一言でもいいのでコメントをつけるとそこにドラマが見えてくることがあります。
その「一言つける」ということが大事なことになるかもしれません。
北村
参考になります。
我々のサービスでも実装していかなければいけないことだと思いました。
続いて、田澤先生にも伺います。
田澤先生は園長もされていて、実際に保護者に園の様子を共有することもあると聞きましたが、実際に撮影される際にどのような点に気を配って撮影されているのでしょうか?
田澤
今、大豆生田先生からもあったとおり、遊びの中でどのようなストーリーがあったかが伝わるように気をつけています。
うちの園の場合、日常の写真は教員が撮り、行事の際はプロカメラマンにお願いしていますが、日常の写真は、子どもというより子どもとその周りを中心に撮影します。
ただ、写真だけではやはり伝えきれないので、うちの場合はブログを活用しています。
ブログでは写真を載せられないので、それを「スナップスナップ」とリンクさせていくような形です。
北村
やはり、写真の中に物語を組み入れて、保育者の方とコミュニケーションを取っていくことが重要だということですね。
ここまでの話を受けて、宮下カメラマンに伺います。
保護者の方のニーズや園で共有したいシーンなどを先生方から伺いましたが、プロのカメラマンとしてどのようなことに注意しているかお聞かせください。
宮下
幼稚園や保育園の撮影というのは、室内が暗かったり外では逆光だったり、子どもの動きが不規則で危なかったり、難しいものですが、その中でいい写真を撮るのはカメラマンとして大前提です。
まず、子どもが何をしているのかという全体を撮り、次にグループでの写真を撮り、そして手元の制作物やハサミなどのアップの写真を撮るといった、子どもが何をしているのかが物語として伝わるような撮り方をしています。
北村
特に保護者の方や園の方に喜ばれた写真はありますか?
宮下
なかなかカメラマンにはそういった情報が入ってこないのですが、そんな中でたまに保護者の方から聞くのは、「行事は親が見ることができるけれど、日常保育の中で子どもの成長がわかるようなものを」ということです。
要は、親の目の届かない場面ですね。
お給食を食べているところなど、何気ない場面を撮ってもらうと嬉しいという声は聞きます。
カメラマンが保育を学ぶことで、さらに「いい写真」になる
北村
最後に、田澤先生に質問です。
今後カメラマンの園への理解も重要になってくると思いますが、スナップスナップなどを活用して「いい写真」を保護者に共有していくにあたって、アドバイスがあればお聞かせください。
田澤
園側とすると、やはり素晴らしい写真を撮ってもらったものに対してどのようなドラマを見いだせるか、コメントがつけられるかということが重要になります。
また、先日保育の研修会があったのですが、そこにカメラマンさんが何人か来てくれたことから、一緒に保育のことを考えていくことで相乗効果になると思います。
北村
写真を撮るだけではなくて、保育のことも学んだうえでサービスにしていくことが必要だということですね。
大豆生田先生のお話にあった「ただ遊んでいるように見えるところに学びがある」というのは非常に勉強になりました。
写真を届けていくにあたって、そこの物語が伝わるような写真をプロのカメラマンと一緒に届けていく必要があると感じました。
本日はどうもありがとうございました。
- Soeko
- 2人の娘を持つ働くママ。 「こころとからだの健康」をテーマに学生時代から運動指導を行い、現在はヨガのインストラクターとして活動する。大学院での研究内容が「産後ママのメンタルヘルスと運動の関係」だったことや、自身の妊娠出産を機に、産前産後のケアについても学びママや子どもたちのためのヨガクラスも担当している。私生活では、頑張りすぎない自然派生活が目標。