千葉県千葉市にある、ピュアスマイル原田歯科クリニック(以下、原田歯科)。
この歯科は、2003年から患者やスタッフの子どもを保育士が無料で預かるサービスを行っていて、大変好評。
その原田歯科、2016年4月よりこれまで13:00までだった保育を、17:00まで延長しました。
その思いや内容について、おたずねしました。
歯医者が託児サービスを始めた理由
原田歯科の周辺は、子どもが多い地域で、幼児・小中高生もたくさん来院します。
実際に、子どもが治療を受けやすいよう、個室で対応したり(キッズ治療室)、器具を置くトレーに音がしないものを使い緊張感を与えないようにしたりと、工夫がされています。
もちろん、子連れで来院する保護者も大勢います。
しかし、中には子どもが泣き出し、歯科の前まで来て治療を断念するケースが何度もあったそうです。
また、1回は何とか治療を受けても、前述のような状態で治療が中断することも。
痛みがひどくなり来院しても、痛みが取れれば来なくなるという悪循環が続いていたそうです。
「これは何とかしなくてはいけない!」と考えたのが、原田幹夫理事長。
そこで、保育士を雇い患者の子どもを預かる託児サービスを考えました。
当初は、待合室の角に一畳ほどの場所をキッズコーナーとして仕切ったところから始め、2005年には、歯科の増築に合わせて専用のキッズスペースを確保。
その後、「もっと保育時間を長くしてほしい」という要望が出て、今回の時間延長に踏み切りました。
原田歯科の託児サービスの内容とは
ピュアスマイル原田歯科クリニックの託児サービスの概要は、以下の通り。
●曜日・時間
月火水金土(ただ祝日は休診)、10:00(土曜は9:30)~17:00
●対象年齢
満4カ月から
●費用
無料(治療代は、他の患者と同額)
●利用方法
完全予約制(初診で子連れの場合は、事前連絡が望ましい)
保育士は現在3名が勤務しており、保育士資格や幼稚園教諭免許を保持。
子どもは多いときで一日5名預かることもありますが、必ず二人の保育士が担当します。
子供にとっては慣れない場所のため泣くこともありますが、その際は別室でDVDを見せて落ち着かせています。
3名のうち1名は17:00までのパート勤務。
2名は社員で、保育終了後は歯科助手として、掃除や器具の滅菌・消毒など終業時間まで行っています。
スタッフの子どもも無料で預かり、働きやすい職場に
この託児サービス、原田歯科のスタッフの子どもも利用することができます。
現在は1歳児を2名預かっていますが、長期休みや代休には、幼稚園児・小学生の一次利用も行っています。
お弁当・おやつ・ミルクは持参し、完全母乳のスタッフは、時間になると授乳することも可能。
昼寝・散歩の時間もあり、保育日誌も書いてくれるので、普通の保育園と変わらない状態で過ごすことができます。
患者の子どもと基本的には分けて保育していますが、人数によって一緒に遊ぶこともあります。
4月に歯科から離れた場所に引っ越した歯科医師(1歳と幼稚園児のお母さん)は、片道2時間かけて保育サービスを利用して勤務しているそうです。
保護者の健康と就労を応援する歯科、それが原田歯科です。
お話をうかがった田邉マネージャーは小学生の母親。
「働きやすい職場です」と何度もうれしそうに話されていたのが、印象的でした。
- 松原 夏穂
- ヨガ講師兼フリーライター。 長男妊娠中にマタニティヨガを始めたのが縁で、ママ・ベビー・キッズ のためのヨガ教室を開講。また、子育て支援のNPO法人でのライター経験を生かし、フリーライターとしても活動。 2005年生まれの長女と2010年生まれの長男の二児の母。