お金

【すぐ実践】将来の出費に備え、今すぐできる家計の見直しとは?

結婚を決めたらすぐに考えたい家計のこと。
実際には子どもを授かったり、住宅購入のタイミングで検討する夫婦が多いようです。夫婦2人での生活は『現在が黒字なら大丈夫』かもしれませんが、子どもが生まれ「家族」が増えるとなれば、『将来の出費に備えておく』という考えにシフトする必要があります。

家計の見直しは、どのように進めればいいのでしょうか?

家計の見直しスタート

家計の見直しは大きく3つの作業に分けられます。
①現状の洗い出し
②ゴールセッティング
③実行(手続き)・実践

①現状の洗い出し

家計の見直しでまずやるべきは、「現状の洗い出し」作業です。家計簿を付けている方は、毎月どの費目にいくら使っているのか、おおよそ見当が付くと思います。全く見当が付かない場合は普段の買い物の頻度などを思い出して逆算します。

買い物のペースから毎月の支出を逆算してみよう

例:食費を逆算する
・ほぼ毎日帰宅時コンビニに寄り、1000円前後買い物をする。→毎月3万円程度。
・週2~3回、スーパーマーケットで5000円のまとめ買いをする。→毎月4~5万円程度。

買う物にもよりますが、スーパーマーケットでの買い物の目安はカゴ8割で約3000円、カゴいっぱいで約5000円程度になります。

例:被服費を逆算する
・毎月2枚ほど洋服を買っている。→毎月5000円程度。
・シーズン毎(年4回)1万円ほどまとめ買いする。→年間4万円。毎月あたり3400円。

費目は細かい方が正確に分かる

現状の洗い出し作業は、少し大変ですが細かく費目を分けて思い出す方がより正確です。最初1回のことなので、少し頑張って計算してみましょう。以下に、項目のリストを載せました。ご自身の状況に合わせて、項目を足したり減らしたりしてもOKです。項目ごとに毎月の支出金額を逆算して書いてみてください。

支出の現状・洗い出し項目リスト(例)

何気なく使っているお金を下記のように項目別に分けることで、何をどのくらい削減し、トータルでいくら削減できるか・・と考えることができます。

◇【食費】
食材
酒類
昼食代

◇【日用品】
洗剤類
赤ちゃん用品
台所用品

◇【被服費】
服・スーツ
子供服
靴・かばん

◇【医療美容費】
医療費
薬代
美容代

◇【娯楽費】
外食代
レジャー
施設利用料

【交通費】
◇ガソリン代
◆定期代
◇駐車料金

◇【その他】
郵便代
書籍代
ペット用品

◆【教育費】
学校引き落とし
給食費
習い事

◆【通信費】
携帯代
インターネット
有料放送

◆【光熱費】
電気代
ガス代
水道代

◆【住居費】
家賃
駐車場代
住宅ローン

◆【保険】
生命・医療保険
学資保険
自動車保険

費目は「変動費」と「固定費」に分けられる

先ほど洗い出したリストの項目は「変動費」と「固定費」に分けることができます。

「変動費」……日々の買い物の仕方によって、支出額が変わるもの。
「固定費」……毎月(ほぼ)決まった額が引き落とされるもの。

リスト内の「◇」マークは変動費、「◆」マークは固定費です。リストにないご自身で追加された項目についても、変動費か固定費かを考えてみてくださいね。

いざ、見直し開始!

「変動費」と「固定費」を分けられたら、早速、見直しをしてみましょう。「変動費」と「固定費」には、それぞれ見直しをする際のメリット・デメリットがあります。

   変動費 固定費
メリット 今すぐ取りかかれる・気軽に行える 見直し効果が大きい・1度の見直しで効果が持続
デメリット 小さな効果の積み重ね・継続するのが難しい 手続きなどが大変・見直すまでに時間がかかる

一般的に「家計の見直しは固定費から」とよく言われていますが、それは1度見直しをすれば継続するのに苦労せず、ずっと削減効果を得ることができるからです。ですが、ショップに行ったり、解約の電話を入れたり、初期設定からやり直したりと、見直すまでに時間を取られるデメリットがあります。その点、変動費の見直しは思い立った時から始めることができます。ですから、どちらかをやるのではなく、どちらの見直しもバランスよく取り入れながら家計を整理していくと、スムーズに見直しが進みます。

固定費の見直し方

固定費の見直しは、慌てて決めないことが大切です。1度の見直しで削減効果が続くメリットがありますが、1度契約をしてしまうと短期間に何度も契約を変えることはできません。ですから実行するには慎重さが必要になります。各社のパンフレットを比較するなどの時間をきちんと確保し、内容をよく理解してから決めましょう。

固定費を削減する具体例な方法

・自動車保険をネット保険にしてみる。
・携帯を格安スマホに変える。
・保険を「掛け捨て型」に変える。
・光熱費の支払いを1つのクレジットカードにまとめてポイントを貯める。
・習い事を減らす。
・新聞をやめて、インターネットでニュースを見る。
・自動車は本当に必要か?(使う時だけレンタカーなど)

変動費の見直し方

変動費の見直しは、思い立ったその日から、すぐに実行に移せる手軽さが魅力です。ですが、削減できる金額は数十円~数百円の積み重ねになります。節約を続けるのに「意志」が必要になり、気を抜くとダイエットに失敗したようにリバウンドしてしまうのが難しいところです。

変動費を削減する具体的な方法

・外食を減らし、自炊にする。
・お弁当やお茶を持参しコンビニに寄らない。
・子ども服のお下がりや交換会を利用する。
・雑誌を買わない。
・美容室の頻度を減らす。
・お酒を減らす。

リバウンドしないコツは?

変動費の見直しは、自分の意志で継続しなければならない難しさがあります。リバウンドしてしまう原因は「我慢」です。ですから、なるべく我慢しなくてもいい仕組み作りをしておくことが大切です。そのために、ただ「やめる」のではなく、「何かで代用する」アイデアを考えると見直しが楽しく進められます。

また、“安物買い”は、結果的に高くつくこともあります。より安く買おうとするよりも、「買う物をよく選んで、良い物を1つだけ買う」という意識で取り組む方が、変動費の見直しには効果的です。

②ゴールセッティング

削減できそうな項目が見つかったら、削減した金額を将来のために貯金・貯蓄しましょう。ここで気になるのが、「いくら貯めておけばいいの?」という目標金額ですよね。

子どもの教育費はいくら?

では、教育資金で一番お金のかかる、大学進学へ向けて貯金をすると考えてみましょう。文部科学省『国立大学と私立大学の授業料等の推移』をもとに計算しますと、授業料+入学金だけでも国立で242万円、私立で333万円が必要になります。

参考資料:『国立大学と私立大学の授業料等の推移』
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/attach/1386502.htm

【例】子どもが18歳になるまでの18年間で350万円を貯めるには?

350万円 ÷ 18年 = 19万4500円 / 1年あたりの貯金額
19万4500円 ÷ 12ヶ月 = 16,200円 / 毎月の貯金額

このように計算すると、毎月16,200円の貯金をすれば、18年間で350万円を用意できることが分かります。

例えば、携帯電話を格安スマホに変えて、月額利用料が8,000円→3,000円と5,000円下がったとすれば、夫婦2台で10,000円の支出を削減することができますよね。具体的な削減方法から、実行できそうなものを組み合わせて16,500円分を削減すれば、それを貯金に回すことで、将来の出費に備えることができます。

【例】子どもが3人いる場合には?

18年間で350万円というのは、お子さんが0歳の場合です。またお子さんが3人いて、年齢が5歳、3歳、0歳の場合は下記のようになります。

<5歳のお子さん>
350万円 ÷ 13(18-5)年 = 27万円 / 1年あたりの貯金額
27万円 ÷ 12ヶ月 = 22,500円 / 毎月の貯金額

<3歳のお子さん>
350万円 ÷ 15(18-3)年 = 23万4000円 / 1年あたりの貯金額
23万4000円 ÷ 12ヶ月 = 19,500円 / 毎月の貯金額

<0歳のお子さん>
350万円 ÷ 18年 = 19万4500円 / 1年あたりの貯金額
19万4500円 ÷ 12ヶ月 = 16,200円 / 毎月の貯金額

<お子さん3人分>
58,200円(22,500円+19,500円+16,200円) / 毎月の貯金額

毎月約6万円を将来かかるであろう教育費のために貯金する必要があります。

この6万円/毎月の貯金額がゴールセッティングの貯金の額になります。

《Point》
児童手当は使わずに貯めよう!
子どもが生まれてから中学を卒業するまで受給できる児童手当。いつの間にか生活費と一緒に使ってしまってはいませんか?児童手当は、もし使わずに貯めることができれば総額200万円程度になります。生活費と口座を分けてきちんと貯めておけば、それだけでも毎月の貯金額がぐっとラクになりますよ!

【まとめ】家計見直しの進め方

現状分析してもゴールセッティングをしても、実際に行動しなければ何も変わりません。また住宅購入や子どもの教育費を考えると大きな金額を貯める必要が出てきますので、短期的ではなく長期的に継続する事が必要です。

無理の無い家計見直しをするために進め方をおさらいします。

①現状の洗い出し

・現状の支出額を知る(リストを使って洗い出す)
・固定費と変動費を分ける
・削減を実行できそうな項目をピックアップ(削減する具体的な方法を参考に)

②ゴールセッティング

・必要な貯金額を算出
・支出額の削減目標を設定
・毎月の貯金額を決める

③実行(手続き)・実践

・決めた貯金額を自動引き落としなどにする(要手続き)
・毎月の支出額と貯金額が予算通りいっているか確認する
※児童手当は使わずに貯めると貯金が有利に進められる

できるところから、家計管理に取り入れてみてくださいね。毎月今月はどうだったか、来月はどうしたらいいかを夫婦で話し合うとより良いでしょう。

《Point》
お金の基礎知識をファイナンシャルプランナーからしっかり学びたい!という方は、「貯金力アップセミナー」への参加もおすすめです。
http://tomoe.life/category/event


横山 沙織
横山 沙織
ファイナンシャルプランナー(2級FP技能士・AFP)。おこづかいセミナー講師。子供金銭教育をテーマに活動する団体「FPmama Friends」に所属し、親子で学ぶおこづかい教室を開催しています。双子の娘+男の子の3児子育て中のママです。趣味は温泉巡りとベランダ菜園です。