レポート

専業主婦からスタジオ経営者へ~法人化の理由と、カメラからはじまるママの可能性~

わが子の誕生を機に、カメラにのめりこむ女性は少なくありません。
ですが、カメラにハマった主婦が、のちにフォトスタジオを経営し株式会社を立ち上げてしまう…となれば、かなりのレアケースのはず。
専業主婦カメラマンからスタジオ経営者へと活躍のステージをぐんぐん広げている
株式会社こどもとかめら 代表取締役を務める今井しのぶさんにお話を伺いました。

※2019年12月12日大手町で開催した【PowerWomenFes!2020】Specialステージトークのレポートです。


目次

  • 専業主婦からカメラマンへ
  • 信条は『とりあえずやってみる』
  • 自宅から念願のフォトスタジオへ! 
  • フォトスタジオのオープン、半年後に法人化
  • 突然の強制退去!その時とった行動は?
  • 好きや趣味を収入につなげるには?

プロフィール



今井しのぶ
株式会社こどもとかめら 代表取締役 今井しのぶさん

母になってから学んだカメラ。2児の子育てに少し余裕がでたころお教室をスタート。
現在はフォトグラファーの養成と撮影スタジオ経営をてがける。2019年6月に法人化。

※お子さんの学年などは2019年12月時点のものを表記しています。

専業主婦からカメラマンへ

―こどもとかめらといえば、150名以上の卒業生を輩出している
<フォトグラファー養成スクール>があります。
子連れOKでありながら、実践を多く取り入れて学ぶスタイルが人気ですが、今井さんはもともとカメラのお仕事をしていたのでしょうか?

<今井さん>
「もともとは専業主婦でした。カメラを始めたきっかけは次女が2歳くらいのとき、主人が持っていた一眼レフカメラを借りて写真を撮ったこと。
あまり上手に撮れず『センス無いね』と主人に言われたのが悔しくて、こっそりカメラを勉強しようかなと思いました。

ただ当時は子連れで通えるカメラ教室がありませんでした。
かわいい子どもの姿を残せるのは今しか無い、と独学でカメラを学び始めましたが、その頃からいつか子連れのカメラ教室を開けたらいいな、と考えていました。」

「独学でカメラを学び続け、撮影した写真を友達にあげると喜んでもらえたり、頼まれて撮影をしたりとするうちに、撮り方をお伝えするフォトレッスンも開催するようになりました。
レッスンの参加者から『もっともっとカメラを学びたい』『カメラを仕事にしたい』と声があがり、フォトグラファー養成スクールを立ち上げることを決めました。」

信条は『とりあえずやってみる』


<今井さん>
「実は…フォトグラファー養成スクールを開講します、と言いながらもその時点ではカリキュラムを決めていなかったんです(笑)。
本当にやりたい人がいるのかな?生徒さん集まるかな?と思いつつHPやブログで募集をかけたところ…想像以上にお申込があり私自身がビックリ(笑)。
慌てて講座の内容を詰めていった、というドタバタの裏側があります。

このことに限らずですが、私自身がやりたい!と決めて思いつきで始めてしまうことが多々あります(笑)。

カリキュラムも決めず生徒さんを募集しちゃうの?と驚かれる方もいるかもしれません。
でも私の信条は『とりあえずやってみる』ということ。

頭の中で考えてばかりいて行動に移せないことって意外と多くありませんか?
私は『考えている時間』がすごく勿体ないと思ってしまうんです。
とりあえずやってみる。失敗したら改善すればいい。
何事もまずは行動に移してみる、チャレンジすることが大事だと思っています。」

自宅から念願のフォトスタジオへ!

「フォトレッスンや撮影も、フォトグラファー養成スクールも自宅で行っていました。
寝室だった8畳の部屋は布団をしまえば日中は広く使うことができたので、フォトスタジオにしてみよう!と壁紙を貼ったり小物を置いたりと子どもたちにも手伝ってもらって、少しづつ準備を整えました。

有難いことに、お客様がお客様を連れてきてくださることが多く、たくさんの方にお越しいただきました。
フォトレッスンの方が撮影に来てくれたり、撮影に来てくれた方がのちにフォトレッスンに通ってくださったりと、お客様や生徒さんが広がっていきました。

とはいえ、一般的な家の8畳間。スペースの問題からフォトレッスンは定員8名。
キャンセル待ちが多い状態でした。
「今聞きたい、今カメラを学びたい」という方にもっとお伝えしたいなというジレンマもありました。


自宅スタジオ時代のフォトレッスン参加レポートはこちら https://tomoe.life/3490

さらに、自宅は最寄り駅からバスで20分ほどの場所。
雨の日もベビーカーで来てくださる方がいたりして、もっとアクセスのよい場所、できれば駅近でスタジオが持てたらいいなと思っていたところ、良い物件とのめぐり逢いもあり、2018年の10月に、駅から徒歩4分の場所にスタジオをオープンすることができました。

フォトスタジオのオープン、半年後に法人化

活動場所を自宅からスタジオに移したことで、単純にスペースが広がり、収容人数が増えました。
自宅スタジオよりもたくさんの生徒さんをお呼びできるようになったので、その分収入が増え、結果としてスタジオの家賃も払うことができました。

実は私、お金の管理がすごく苦手で…ざるのように使ってしまうこともあります(笑)。
我が家の家計も主人が管理するほどなので、スタジオを続けているうちに、会計処理を自分で行うことに厳しさを感じて、仕事のお金について会計士さんにお願いすることにしました。

会計士さんに数字を見てもらい「そろそろ法人化してもいいのでは?」と提案されました。
「でも、どっちでもいいですよ」と。

もともと法人化を計画していたり、必要性があったりしたわけではないのですが「どっちでもいいですよ」と言われたら…
やってみたい!と気持ちが傾きました。

そんな経緯でスタジオオープンから半年ほどで法人化しました。
周りの方が宣伝や紹介をしてくださったり、企業様とのお仕事には信頼感が出てきたりと、法人化して良かったな、と今少しずつ実感しているところです。

突然の強制退去!その時とった行動は?

スタジオを開き法人化して、と順調なように見えるかもしれませんが、実はつい最近思わぬハプニングに見舞われました。
なんと、スタジオの大家さんが変わってしまい、強制退去の通達があったのです。
スタジオの入っている建物を解体して、マンションを建てるとのことで、猶予もありませんでした。

まだスタジオをオープンして1年ちょっと、突然の出来事でした。
けれど、あがいても仕方のないこと。これも何かのご縁!と自分の中でプラスに変換して、あちこち新しい物件を探すことに決めました。
良いと思った物件は今までよりも広く、もちろん家賃も上がります。
ただ直感で気に入ったこと、妥協はしたくないなと思ったこと、そして常に挑戦していく自分でありたいと思ったので、広いところを借りて頑張ろうと、その物件に決めました。

常に自分にチャレンジすること。それが、自分の成長につながると思っています。
何かを迷っている方には、思い切ってチャレンジしてほしい、と背中を押したいですね。」

好きや趣味を収入につなげるには?

―フォトグラファーさんいらっしゃいますか?聞きたいことあれば何でも話します!と突然始まった質問タイム。
会場内から手が上がりました。

「しのぶ先生はカメラマン以外の色々なジャンルの人とつながりをもち、仕事につなげていっているのが魅力。
ただ趣味として楽しいよねで終わってしまう主婦ではなく、お金につなげていくコツがあれば教えてください。」
と直球の質問がありました。

<今井さん>
「いろいろなジャンルの人と繋がる機会を活かしてほしいです。
今日のこのイベントもぴったりですが、名刺を持って、思い切ってお声がけしていくこと。
住んでいる地域や共通の知り合いなど、何か共通点があるとお話が進むはず。
じゃあ何か一緒にやってみようか?面白いことできそうだね!とつながったり、あとあと連絡をいただいたりすることもあります。

自分一人で広げるってすごく難しいことです。
同じ職種の方とつながるのも大事だけど、別のジャンルの方と繋がることが、広がりが生まれるきっかけになります。

例えば「イベントをするので撮影してくれるカメラマンを探している」など、お仕事のきっかけが生まれることもあるし、人と人とのつながりでお仕事が増えていくこともあります。もちろんお仕事が増えることで収入アップにもつながります。
輪を広げられるよう、そのきっかけづくりの行動をどんどんしていきましょう!」

編集後記

今後の目標を伺うと「新しいスタジオを自分の好きなテイストに作り上げていきたい。
フォトグラファー養成講座の卒業生がもっともっと輝けるような環境作り努めていきたい!」と答えてくれた今井さん。
ゼロからつくりあげたスタジオを後にする名残惜しさよりも、新しく始まるスタジオへの期待感でいっぱい!という様子でした。

「写真を撮っているときが楽しい。フォトレッスンで生徒さんが『できた!』と喜んでくれることも楽しい。
カメラのことを考えているときもしゃべっているときも楽しい。とにかく人が好きなんです。」
と終始明るく話をしてくれたその様子に、写真を教わるなら、大切な写真を撮ってもらうならこんな人がいい!と自然と納得しました。

▲イベント会場内では、こどもとかめらフォトグラファー養成スクールの卒業生が親子撮影会を担当。
緊張気味の親子の笑顔を引き出せるのは、カメラマンが笑顔で楽しんで撮影しているから!

結婚や出産をきっかけに、好きなことを見つけ、家族や大切な人のためにと腕を磨いていく。
カメラに限らずお料理やハンドメイドなど、育児や暮らしにまつわることを趣味から仕事に育ている女性は多くいます。
純粋に学び、喜んでくれる人がいるから成長できる。「ママだからできること」を楽しみながら突き詰めていくと、自分だけの武器が生まれ、自分らしい働き方を開拓できるかも?
そんな"ママの可能性"を感じてワクワクしたのは、きっと私だけではないはずです。

撮影協力

acca phot/ 寺嶋 綾香
https://www.instagram.com/_acca_photo_/


kumiti_camera

http://www.instagram.com/kumiti_camera


渡邉 加奈子
渡邉 加奈子
娘が2歳のときPowerWomenプロジェクト在宅スタッフ登録をし、アンケート入力や事務局代行などを行う。その後【笑顔で働きたいママのフェスタ】イベント本部のスタッフとして、パートタイム勤務を経て正社員に。第2子の産休育休を経て現在は短時間正社員となる。ふたりの子供たちに挟まれて寝るのが何よりの幸せ。育児がひと段落したら趣味の切り絵と三味線を再開するのが夢。
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